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「暮しの手帖」が好きだった

子どもの頃、「暮しの手帖」の第二世紀(通巻101号から200号までをこう呼ぶ)を読んでいました。
花森安治編集長の思想が色濃く現れたこの雑誌は、ジュースの着色料や、パック売りの商品の重さや品質のごまかしなどを告発。
過剰な装飾や、きちんとした機能のない商品は否定して、きちんと商品テストをするのが、とても好きでした。

メーカーでは、負荷をかけたり機械で一定の条件でテストするものを、人間が実際に使うようにして長い時間をかけてテストする。
電球か蛍光灯のテストをしたときには、テストの最中にはたきをかけて1個壊してしまい、最初からテストをやりなおした、そのくらい徹底したものだったそうです。
一つの記事を書く前に費やされた膨大な時間と手間を感じました。

記事の中に、文具も何度も登場しました。

今でも覚えているものをざっとあげると、

【追記:2011年5月 載っていた号を加えました】

【肥後守】 第2世紀59号
ナイフで鉛筆が削れないということへの憂慮をこめた記事でしたが、その中で数々の肥後守の使い勝手を調査しています。
その結果、よかったものは「○○肥後守」を名乗る3社のものとあと数個。
肥後守は、その3社の登録商標なんだそうで、「○○肥後」とか「肥後ナイフ」とかいうものよりも確かに性能がよかったそうです。

【0.3mmシャープ】 第2世紀65号
「君のは細い、マチャアキよ」という題だったと思いますが、
すぐ折れる使いにくい0.3mm芯のシャープペンを、大々的に宣伝して売るのはどうか、という批判記事でした。
0.9mm芯なら折れないし、その程度の細さで十分、ということだったかと。

【スティック糊】 第2世紀49号
まだ出始めの頃のもの。比較したのは、プリット、ウフ、ピットでした。
糊の粘り加減とか使い勝手を比較していました。容器がもったいないという意見もあったような?(ここは記憶にない)

【多面、鍵つきなどの筆箱】 第2世紀23号「カギつき筆箱を売らない百貨店の見識、77号「筆箱をオモチャにしないでほしい」
子どもの文房具をおもちゃにするなというので、相当批判していました。
中に、高級鉛筆のユニやモノが立派なプラスチックケースに入っていることから、
これにウレタンなど敷けば立派な筆箱になり、「しかも、鉛筆が12本もついてくるのだからこれほど安い買い物はない。」と書いてあったと思います。

【子供用スチール学習机】 第2世紀「買い物会議」16号「勉強できない机」、 22号「危険な勉強机」
学習机も、いろいろな付属品がデラックスにつく時代だったので、余計なものはいらないと批判していました。(基本的にシンプル イズ ベスト な雑誌なのです)

【水性ボールペン・水性サインペン】 第2世紀81号
実際に人間が書いて調べるテストでした。そんなにひどいものはなかったように思います。サインペンはかなり長持ちしていました。

【筆ペン】 第2世紀49号、69号
筆の穂先にいろいろなタイプがあるので、筆に慣れていない人にはこういうもの、みたいに、個人差に応じての評価がされていたと思います。

【ノン ナンセンス】 第2世紀76号(77号にその後の報告)
シェーファーの廉価な万年筆。プラスチックの安価な万年筆の中でも、珍しく太字が書けて、書き心地もなかなか、と高い評価でした。

昭和B級文化の日曜研究家、串間努さんは、こういう「暮しの手帖」スタイルはお嫌いのようで、そういうものがほしかった子どもの気持ちがわかっていない、と著書で書いていらっしゃいます。

でも、私は「暮しの手帖」信奉者の子どもでしたから(←子どもとしては変かも)、鍵つき筆入れは嫌々使っていたし(←いらないのに買ってくれたのです)、鉛筆をナイフで削れるように練習したし(←今は色鉛筆にしか使ってませんが)、ナイフは「肥後守」の名前をさがして買ったし、ノンナンセンスも買いました。

私が、普通の文房具の性能や使い勝手にこだわるのは、この「暮しの手帖」のスタイルが強く影響していると思います。

【このブログの「暮しの手帖」関連記事】

→ 本は個人で保存する時代なのか ~公立図書館と「暮しの手帖」~

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コメント

けふこさんのブログは懐かしいものがいっぱいで嬉しいな~(^_^)

0.3ミリのシャープペンシル、高校時代に使っていました。画数の多い字を書くとき、0.5では埋まってしまうんですね~。それで、わざわざカッターナイフで先を削っていたのですが、0.3を貰って(姉のを横取りしたが正しい。)実に調子よく使っていました。芯が折れやすいのも気にならなかったような・・・筆圧も関係するでしょうが?

プラスチックの筆箱、小学校時代マグネットの可愛いものはすぐ破れていたので、鉛筆を買ったときのを使っていました。Uniだったかな?グレンチェックの柄のを使っていましたよ。消しゴムを入れるスペースも確保されていましたよね?
息子の筆箱は両面開きで鉛筆削りまで付いてますよ。今の時代はキャラクターが氾濫してるし、親がつい買っちゃうのでどんどん増長して行ってる気がします。

子供が小学校に上がるまではうちに鉛筆削りは無く、色鉛筆も鉛筆も私がカッターで削ってました。芯は多面に削る方が細い字を長く書ける気がするので経済的かと・・・先をあまり細くするとすぐに折ってしまうしね。

『暮らしの手帳』本屋で一度覗いて見ようかな?共感できそう(^_^)

投稿: ゆーこおばちゃん(キャスパー) | 2007年6月12日 (火) 01時26分

暮しの手帖も、編集長さんがかわってからそういうアクが弱くなったせいか、家では逆に読まなくなってしまいました。基本精神はかわってないと思いますが…って、私が読んでたのって30年以上前?…し~ん(--;) 広告を一切取らないって方針はたぶんそのままだと思います。
私はシャープペンシルは学生時代はほとんど使いませんでした。携帯用以外はほとんど鉛筆。筆圧が弱いので、シャープペンシルHBだと字が書けないんです。(現在は、Bか2Bの芯を入れて、最近では0.7mmシャープがメインです)
高級鉛筆ケース筆入れ使ってましたか?^^ あれって消しゴムがついていたのもあるんですよね。消しゴムのMONOとかも、もともと鉛筆の付属品だったようだし。私は筆箱にしないで、バラで買った未使用鉛筆を入れるケースにしていました。
筆箱が多面だと、ぱっとどこに何が入っているかわからないと思うんですが、キャラクターの絵とかで見分けているんでしょうか?
片面まるきり違うキャラや色にすればわかりやすいと思いますが、あんまり厚いのも邪魔な気がします。最近では、ファスナー式のたくさん入る筆入れも多いですね。
ゆーこおばちゃんさんは、ちゃんと鉛筆をカッターで削ってあげたんですね。すごい☆

投稿: けふこ | 2007年6月12日 (火) 23時07分

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