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色々あります~学校で使う水彩絵の具12色の組み合わせ~ その4 まとめ

私の地域のサクラクレパスとぺんてるの絵の具のシェアは、ほぼ半々だと思います。小さな文具店でも、両方の箱入りが置いてあり、バラのものもどちらかは買うことができます。1_2 2_2 画像はホームセンターのものですが、仲良く? 両者が販売されています。(実際は、サクラVSぺんてる の熾烈な販売合戦が行われている激戦区なのかも。)

しかし、以前は、「ぺんてるえのぐ」はこちらでは販売されていなかったようで、私の記憶にあるのは、サクラマット水彩と寺西のギターペイントです。

以前、同人誌出身の漫画家の尾崎南さんの原画展に行ったときに、同人誌時代のカラー作品に「学校で使っていたぺんてるえのぐ」で描いたという説明があって、ぺんてるの絵の具? ととても違和感を感じたのを覚えています。(ぺんてるくれよんはよく知っていました。)
ぺんてるは、絵の具の開発としては後発なのか、こちらの地域に進出するのが遅かったのかのいずれかだったのだろうと思います。※追記あり
そして、現在は、こちらの地域ではよく見かけるメーカーとなりました。今回、寺西の調査が抜けているのは地域性で、おそらく関西にいけば、サクラクレパスと寺西の製品が多いことでしょう。
私自身、どちらを指名買いということはなく、サクラの補充がぺんてるだったり、その逆だったりと気ままで、「どちらがいいですか?」と聞かれても、差は感じない、という程度のユーザーです。

金属チューブの時代、「肌色」や「水色」は、12色セットの中には存在しない色でした。
それが、12色の中に混じるようになったのは、ポリチューブが開発されてからだと思います。チューブが切れて横から絵の具が飛び出したり、ふたの仕方が悪くて乾燥したりというトラブルが減って、子供にも扱いが楽になった。その結果、低年齢から使われるようになったのではないでしょうか。自分が子どもの頃は、絵の具は小学1年生の使う画材ではなかったような気がします。

私のただの推測ですが、現在、同じ会社のポリチューブにいろいろな仕様があるのは、

・ぺんてるが中間色の多いセットを出して差別化をはかり、ヒットした
・サクラクレパスも、中間色を入れたセットを出し、拡大をはかった
・しかし、学校納品では、中間色の多いタイプは評判が悪く採用されにくい。
・一般市場受けのよいタイプは量販仕様として残し、学校納品タイプをスタンダードとしてカタログにのせたり文具店に置いたりするようになった。

こんな感じなのかなあと思います。
一般受けしなかったのなら、たぶん量販仕様の中間色系セットは滅びていると思うのです。メーカーだって、いろいろな組み合わせを作るより一種類のラインの方が楽だと思うし。カタログに出ていないようなものをわざわざ作る理由は、やはり中間色セットが売れるからなんだろうとしか思えません。

でも、こうやって考えると、学校側は絵の具は混ぜて使うものだと思っているけど(三原色と白だけ使って混ぜて描くというのまであります)、使う側は必ずしもそう思っていないようで、両者の意識に隔たりを感じてしまいます。
ピンクや水色は白を混ぜれば簡単にできると思うのだけど、「白に、ちょっぴり赤や青」でなく、「赤や青を出してから、白」で混色すると、いつまでたっても色が薄くならないですからねえ^^; 「ももいろやそらいろと白」の混色のほうが簡単かもしれません。
風景や人物を描くときに、単色で塗ったのでは雰囲気が出ない。たやすく混ざって微妙な色を作れるのが絵の具の持ち味だと思うのですが、「人間の色はどうすればいいの~」と困る子どもは、「ペールオレンジ」や「うすだいだい」がないと意欲的になれないのかなあ。

私は多色ものが大好きで、色鉛筆やクレヨンなど12色では絶対満足しないのですが、絵の具セットは12色しか買ったことがありません。それは、根強いほど「その他の色は混ぜて作れるから」と思っているからです。混色も好きだし♪ (混色するのに否定的な人もいると思うので、私の場合、です。)
なので、私が選ぶなら、「緑、ビリジアンにはこだわらないけど、黄土色と藍色が入っているもの」にします。(今回なら、量販仕様でないポリチューブのサクラマット水彩かぺんてるエフ水彩。実物は見ていないけどギターペイントの選色もOK。「やまぶきいろ」より「きいろ」のほうが気が楽なので、サクラマット水彩ラミネートチューブには積極的になれない。)
でも、そういう需要ばかりではないらしいと今回の調査で思いました。

文具を買いに行くとき、だれもが文具店に行く時代ではなくなりました。大型スーパーやホームセンターにも文具のコーナーがあり、100円ショップもあります。大量仕入れのため安価で、少しでも安いものを求める客はそちらに向かいます。
そこに並ぶ商品は、かつての学校前文房具店とは比べ物にならないほど多様化しています。しかし、そこには製品の説明をしてくれる人がいません。売り場で用があっても、店員さんを探すことさえ困難なこともあります。しかも、そこにいる店員さんは文具だけを見ているプロではないし、仕入れにも携わっていなかったりします。

そこに並んでいるたくさんの絵の具から、どれを選べばいいのか? 何色と何色が必要で、それはどの製品に入っているのか? 
それは客側が学習しなくてはいけないことだとは私には思えません。
私はいろいろなカタログやネットショップを調べて、メーカーさんに問い合わせて、実際の製品をあちこちで探して比べてみましたが、非常に面倒で困難でした。
私たちが文具を買うときには、そんな知識はいらないはずです。
「小学校入学で用意する12色」「中学生の美術で使う12色」せいぜいその程度の要望で、目指す商品にたどりつきたい。
ニーズに合わせてと製品を多様化させることが、逆に、選択の難しさを与えてはいないでしょうか。
もっとわかりやすい表示、選択の手がかりをメーカーさんから与えてほしいと思います。そうでないと、文具店だって説明のしようがないと思います。

「水色とピンクの入ってるぺんてるがあったと思うんだけど」とお客が聞いても、カタログにも掲載されていないのでは「製造中止になったんじゃないでしょうか? どちらの色も単色ならございますが」くらいしか答えられない。その後、量販店でそのタイプをお客さんが見つけたら、「あの文具店、適当なこと言ってる」と思われます。これは文具店のせいではありません。

こうなると、12色標準ではなく、15色標準のほうがいいのかなあと思わないでもありません。そうしたら、混色系12色に、「肌色」「水色」とあと1色が入って、どれを買ってもそんなに違わなくなるんじゃないでしょうか。
…と思ったら、ぺんてるの15色は、ポリチューブが12色+ペールオレンジと金銀で、クリーンチューブが12色+紫と金銀です^^; (多様化ってほんとにいいことなんですか? こんなの覚えられません!)

とりあえずの客側の対策は、白が2本入っているタイプを1ケース買って白を1本抜き、替わりに追加したい色をバラで買って入れる。バラで追加して別に持っていてもいいけど紛失しやすいし、子どもが使うなら絵の具が全部そろっているか確かめられるほうがいいと思うので。
あとは、混色を覚えること、に結局なってしまうのでしょうか。ない色は作ればいいと柔軟に考えて…しかし、根本的な解決にはなっていませんね。
でも、黄土色と藍色の作り方なんか面倒…これじゃ、「人間の色を作るのが面倒」の子どもと変わらないかな 笑

※追記

各社の絵の具製造開始年

・サクラクレパス  水彩絵の具1928年  サクラマット水彩1950年 …同社HPより

・寺西化学工業   ギターペイント1951年 …同社HPより

・ぺんてる   ぺんてるえのぐ1952年  ぺんてるえのぐエフ1962年 ぺんてるエフ水彩1972年 …初見健一『まだある。 今でも買える“懐かしの昭和”カタログ~文具・学校編~』大空ポケット文庫 より

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〔前記事はこちら〕

→「色々あります~学校で使う水彩絵の具12色の組み合わせ~

→「色々あります~学校で使う水彩絵の具12色の組み合わせ~ その2 ぺんてる編

→「色々あります~学校で使う水彩絵の具12色の組み合わせ~ その3 サクラクレパス編

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コメント

ぺんてるのエフ水彩を検討していて、ここにたどりつきました。
今日、ひどい体験をしました。
ホームセンターで12色の構成を見た上で、
むらさきだけを買って帰ったのですが、
家にあった娘のお古セットは古い色構成のものなので、
だいだいとみどりいろが入っていませんでした。
サクラでもぺんてるでも良いのですが、
3原色とその補色3色の6色と白の7色で、
水彩による印象派色実験をしたかったのです。
補色としてビリジャンは使えても、
だいだいとむらさきが足りなかったわけです。
ところがだいだいを買い損ねる結果となったのです。

色環をなるべく等間隔に6色取り、
セットを構成するなら、
黄色(できればレモン色寄り)、だいだい、
赤、むらさき、青、ビリジャンとなり、
この6色と白を駆使すれば、
印象派は描けるはずと考えています。
(先日、NHKでも少し話しました)

結局、どちらのセットも、科学的に構成はされず、
雰囲気でセッティングしているのでしょうか。

ともかく、偶然このサイトに出会い、
楽しみが増えました。
よろしくお願いいたします。

投稿: クロード・モリ | 2010年6月29日 (火) 00時35分

クロード・モリさん 初めまして
コメントをありがとうございます。
同じメーカー、同じシリーズ(っぽく見える)で、違う色展開をしているための不都合の具体例ですね。
誰にでもわかりやすいセットを作ってほしいと思います。

メーカーさんは子どもや学習に使いやすい色構成を考えているそうなので、印象派の絵を描くなら違う色構成がいいのかもしれないですね(まったくわかりませんが…汗)。
私の知る限りでは、まっち絵具や月光荘の水彩絵の具でも、12色にオレンジと紫が両方入っているものはないと思います。

でも、マジックインキでは8色構成でもオレンジと紫が入っているわけですから、何色を基本に選ぶかはとても奥深いものがありそうな気がします。

投稿: けふこ | 2010年6月30日 (水) 03時10分

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