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「ノンボテ」ボールペンを調べてみたら… その4 ステーショナリー タニィによる調査

「『ノンボテ』ボールペンを調べてみたら…その3 本棚を探してみたら…」の続きです)

「ノンボテ」調査を始める少し前、検索で偶然見つけた文具店ステーショナリー タニィ TaniyのHPを、私は大変気に入っていました。

ステーショナリー タニィは、店舗を持つ文具店で、HPは、新製品の紹介や店舗情報を載せるためのもののようでしたが、そこに併設されていた「文具辞典」を作った動機に目を見張りました。

今般、文具の種類が増えたこともあり、お客さまのお問合せの度に、各メーカーのカタログ・HPで調べるのに時間が掛かってしまいます。
なるべく、お客さまをお待たせすることの無いように、商品の種類をメーカー別に整理しておこうと思い立ちました。少しずつ増やしていきますので、気長にお付き合い下さいませ。(但し、文具メーカーの取扱いの商品に限らせて頂きます。/おもちゃメーカーの商品や¥100-ショップの商品、ディズニー等のキャラクター商品は除かせて頂きます。)

いいなあ。こういうのって^^

店側が「客が無知だから啓蒙しなくては」という上から目線でなくて、「お客さまをお待たせすることの無いように」ですもの。

「文具辞典」は、他メーカーの同等品がわかる構成で、いろいろなメーカーの商品を扱うお店だからできるもので、これはメーカーにはのぞめません。
特に各社の学習帳の比較の項目は詳しくて、こういう普通で地味なところに力を注いでいるステーショナリー タニィが大好きになりました。

で、早々と左サイドバーにリンクを貼ってしまい、事後承諾でリンクの許可をいただくメールを書いて、快諾をいただきました。

そのお礼のメールを書いたときに、何気なく追伸で、

今、私の知人のブログで、
20年以上前くらいに「ノンボテ」という国産で加圧式の使い捨てボールペンがあったという話題が出ています。
ネットや持っている昔のムックなどを見ても見つからないのですが、
加圧式といえば、スペースペン、パワータンク、エアープレスくらいしか取り上げていないので、そんな製品があったのなら知りたいと思っています。
たぶん、すぐに消えてしまった商品ではないかと思っています。
(名前負けしてボテていたらしいので)
この製品にお心あたりはありませんか?

それだけ書いたのです。
もちろん、正式の依頼ではなく、文具に詳しい方に聞いたら手がかりがあるかもしれないな、という軽い気持ちでした。

しかし、翌日(10日)の返信で、「ノンボテ」の正体、翌々日(11日)の返信で当時のボールペン事情、さらに15日には商品の画像、後日、当時のカタログコピーまで、ステーショナリー タニィの調査力はものすごく、最初のメールでうなった私は、もう、うなりっぱなしの状態でした。(この調査力の秘密は次回に♪)

【ノンボテ】の正体(三菱鉛筆のカタログ 及び お客様相談室の回答より)

正式名称: 「エアペン」 ( 「NONボテ」 は愛称。軸に印刷してある)

発売元: 三菱鉛筆

発売年: AP-50(1971年)
      AP-106(1974年)

価格:  AP-50  60円 使い捨てタイプ
     AP-106 150円 ステンレスチップ カーボンインク採用

仕様: 0.7mm芯

いくつかあったようで、カタログでは「黒のみ」であったAP-106も、青や赤が後にできた(画像あり)。当初のカタログではどちらも尾栓を完全に溶着した使い捨てタイプのみだが、後のAP-106は芯交換ができた模様。

特長:

・曳糸性抜群のインク使用(余分なインクはインクの性質でまた軸内に引き戻されボテがなくなる)

・空気2気圧の加圧式(ボテ減少、上向き筆記可能、逆流なし)

・経済的(ボテ漏れ減少のため。筆記距離1500m 従来の1.5倍)

・無重力の宇宙空間や水の中でも書ける

画像は以下のものです。

まず、AP-50の「エアペン(NONボテ)」。使いきりタイプ60円のもの。

Airpen50_2 

軸に「NONボテ」と書いてあるのがわかるでしょうか?

Airpen50_3 みゃ~さんのご記憶にある通り「六角軸」で、ここにはありませんがカタログ写真では「先端部は真鍮色の固定」でした。
ボディの色はインク色のようですが、文字印刷部が白なので、そちらの記憶がまさったのだと思われます。

さらに、AP-106のほうは

Airpen150

Airpen150_2 こちらのほうは、文字の書いてあるところもインク色になっています。

【ステーショナリー タニィの「専務」さん 談】(「専務」さんについても次回)

1960~70年当時の油性ボールペンは、ペン先のボールのかみ合わせが大きかったため、ペン先を下に向けておくとインクのボタ落ちが当たり前で、書く前に、一度別の紙にペン先をすべらせて、ペン先のインクをぬぐってから書き始めていた。
フィッシャー社が圧力をかけて無重力でも使用できるボールペンを作ったことにヒントを得て、三菱でも圧力をかけてインクのボタ落ちを防ぐボールペンを作り、それが「ノンボテ」だった。
しかし、実際はそれでもインクはボタ落ちした。

さらに、三菱鉛筆から出た加圧式ボールペンは、ノンボテだけではありませんでした。

「その3」であげた「スペースラブ」(1982年発売 GL-100 100円) も、金銀のあの「メタボ」(GL-100 200円)も、実は加圧式だったのでした。(しかも、メタボは国産初の金・銀ボールペンだった)

【ステーショナリー タニィの店長さん 談】

「スペースラブ」はそんなに性能に問題もなく10年以上作られており、82年当時は「圧力式のボールペン」とか「インクがボタ落ちしないボールペン」とかいう機能の指名買いが多かった。(他に、ボールを2個入れてインクの逆流を防ぎ上向き筆記ができる ゼブラの「ツインボール」もあり、こちらの方がよく売れた)
当時の油性ボールペンは50円が主流で、スペースラブツインボールはけっこう高いボールペンだった。

とは言っても、スペースペンとは比べ物にならない安さですよね♪ (三菱鉛筆の加圧式ボールペンは、後で整理して書きたいと思います。)

こんな回答ができるステーショナリー タニィ …そこには文具を愛するプロの「人たち」がいたのです。(続く)

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 関連記事は、 カテゴリー シリーズ:ノンボテ&ケルボ へ

→ カテゴリー シリーズ:ステーショナリー タニィ へ

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コメント

こんばんは

>店側が「客が無知だから啓蒙しなくては」という上から目線

大きなお世話ですよね

そんな対応をする店員がいる店は客足が遠のくでしょうし、
店側にしても そういう店員が売り場にいれば、
他の部署に異動にすることでしょう

もちろん店員に商品知識は必要ですが、
この場合の知識とは お客へのより良い買い物のためのものであって
客に ひけらかすものではない思います


三菱鉛筆エアペン(NONボテ)の封圧値が2気圧というのも
興味深い数値ですね
同じ三菱鉛筆パワータンクは3気圧ということですから、
「ボテ」た理由が適正な加圧ではなかったとも考えられますね
でも価格が60円なら、ボテても仕方がないかな?

 

投稿: 松本麗香 | 2008年7月31日 (木) 22時31分

麗香さん こんばんは
どんなお店でも、客が店員さんより商品を知らないのは本来の姿なので、またか~ と思っても優しく説明してほしいです。
できれば、取り扱い説明書をそんなに読まなくても使い方や性質や内容がわかる文具にしてほしいなあと思います。

ノンボテの加圧が2気圧だったのは、当時の技術力でそれが限界だったのかもしれないですね。(加圧したためボテるなんてこともあり? このあたりはさっぱりわかりません 汗)
でも、スペースペンよりはるかに安い価格帯で、同様の性能のボールペンを出そうとした三菱鉛筆のその心意気やよし、と思います。(次回のお題♪) ←いつまで続く?

投稿: けふこ | 2008年8月 1日 (金) 01時44分

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