「ノンボテ」ボールペンを調べてみたら… その7 ケルボの行方
(「『ノンボテ』ボールペンを調べてみたら… その6 三菱鉛筆の努力」の続きです)
私のリンク先のモルBさんのブログ「モ印良品」に、先日、「書き直しができる油性ボールペン」という記事が書かれました。
そのボールペンの名前は「イレーザー・ドット・マックス」。
モルBさんの愛用品の一つとして紹介されていました。
実はこのペン、油性でありながら普通の消しゴムで消せるということの他に、時間がたつと今度は一転して消せなくなるという性能を持っています。
これって、昔の 消しゴムで消せるボールペンケルボそっくりの性質だなあと思って、コメントを書きました。(ついでにこのシリーズの予告も…)
その後、ノンボテの記事を書き始めて、記事「その3」の資料の本をいろいろ探しているときに、ケルボの会社名がペーパーメイトなのに気づきました。
あれ? ケルボって国産じゃなかったっけ? と別の本を見たら今度はケルボⅡの会社名が三菱になっています。
で、先のモルBさんのブログに戻ってみたら、そこには「ペーパーメイトのイレイザー・ドット・マックス」と確かに書いてあります。
どうも、ペーパーメイトが絡むところに「消しゴムで消せて、時間がたつと消せなくなるボールペン」があるようだなと思いました。
探してみると、1984年の『文房具図鑑』(ステレオサウンド)には、次のような記事がありました。
特許訴訟まで起こし業界ではもちろんのことニューヨーク・タイムズまでも取上げた消しゴムで消せるボールペンは、そもそもの発明者ペーパーメイト社によって着実にぼくたちの机の上に顔を出し始めている。
アメリカではボールペンのインクの色は何と言ってもブルーで、次にと言えばレッドということになるだろう。イレーサーメイトもついにレッドを発表した。スティックペン(鉛筆のような形のペン)タイプをイレーサーメイト2と呼んでいるが、それのレッドがやっと発売され始めた。書き味はブルーのものに比べると特長でもあるネバッコさが無いようである。(P18 「市浦 潤氏のコレクションから」 より)
…やはり、消しゴムで消せるボールペンの元祖はペーパーメイトのようです。
ここに出てくるボールペンの名前は イレーサーメイト イレーサーメイト2 です。
同じ本に取り上げられている同じ性質のケルボはペーパーメイトの品。
たぶん、日本向けに売り出すにあたり、愛称を「~ボ」族のケルボにしたのでしょう。
画像がはっきりしないので、軸に「ケルボ」と書いてあるかは不明です。
ひょっとしたら、「ケルボ」とはパッケージだけに印刷してあって、本体は「イレーサーメイト」だったのかもしれません。
その翌年1985年のケルボⅡに三菱の名がつくのは、推測ですが、三菱鉛筆が輸入代理店のような扱いをしたのではと思います。(独自開発をしたにしては、その系統の製品がないようなので。)
しかし、ケルボは話題になりましたが定番化せず、しばらく「消せるボールペン」は一般文具店から姿を消したようです。
1986年発行『文房具 知識と使いこなし』(市浦潤 新潮文庫)に、イレーサーメイトの説明がありますが(先の文章と同じ著者ですね)、
「24時間以内なら、キャップに付いた消しゴムで消すことができる。*」
と、*がついています。
*がついている商品はあまりないので、解説を見たら、
本書に掲載した商品は、*印を付したアンティーク、輸入品を除いて、原則として銀座伊東屋、池袋西武、札幌大丸藤井で入手することができます。
…ということは、イレーサーメイトは伊東屋でも買えない輸入品になっていたということ?
ケルボが買えたのなら、紹介が出ていてもよさそうですから。
【ペーパーメイト開発の消せるボールペン】
1979年 ペーパーメイト 「イレーサーメイト」を発表
1984年までに ペーパーメイトの「ケルボ」日本で販売はじまる
1985年 三菱から「ケルボⅡ」販売(輸入品?)
1986年 「イレーサーメイト」一般文具店から姿を消す
この通りだとしたら、ケルボが一般市場にあった時間はとても短いことになります。
(追記: 「その8」にて、修正年表をのせていますので比べてみてください。)
しかし、この「消しゴムで消えるボールペン(インク)」は、絶えてしまったわけではなかったのです。 (続く)
→ ペーパーメイト(PAPER MATE) BRAND CONCEPT (社の沿革が簡単にまとまっています。)
→ 「ノンボテ」ボールペンを調べてみたら… その8 ケルボの子孫 へ
→ 関連記事は、 カテゴリー シリーズ:ノンボテ&ケルボ へ
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
こんばんは
>この通りだとしたら、ケルボが一般市場にあった時間は
>とても短いことになります。
市場にある期間の割に知名度が高かった(私が知っていたくらいw)のは、
TVコマーシャル等の大々的な宣伝があったからでしょう
それにボールペンの文字が消せるといったセンセーショナルな
特長もインパクトが大きかったのでしょうね
投稿: 松本麗香 | 2008年8月 4日 (月) 23時23分
麗香さん こんばんは
「ケルボ」の情報は、名前ばかりが落穂のように見つかることが多く、それだけ印象的だったのだろうと思います。
ボールペンに思い入れのない私が、あの値段で購入しているんですから、「消せる」というインパクトは今の比ではなかったのでしょうね。
麗香さんのところのお客さまのみゃ~さんのおかげで、思いがけずいろいろなことがわかって楽しませてもらっています。
ケルボ、この1回におさまるかと思ったら無理でした(自爆)
投稿: けふこ | 2008年8月 4日 (月) 23時40分
おおおお~っ!?ケルボってそんなに短い存在だったとわ!
ちなみに僕の記憶で入手がやはり1985年頃なので
時期的に確かに一致しています。
「けせるボールペン、ケルボ」という
フレーズでCMをやってた記憶があります。
とはいえ、あまりに古い記憶なので定かではありませんが(笑)
ただ、当時キャップについた消しゴム以外では
なかなかきれいに消えなくてかなりゴシゴシやった
記憶だけは鮮烈に覚えています(笑)
投稿: モルB | 2008年8月 5日 (火) 23時45分
モルBさん こんばんは はじめまして♪
>「けせるボールペン、ケルボ」という
>フレーズでCMをやってた記憶があります。
テレビCMで、やっていました☆
使った事のない私が憶えているくらいですから(^-^)
投稿: 松本麗香 | 2008年8月 6日 (水) 03時58分
こんばんは
モルBさん
さらに調べたら、もう少しケルボは早く発売されていました(その8を見てくださいね)ので、販売期間はこれよりは長かったことになります。
私はケルボをいつ買ったかまでは覚えていないんですよね。
麗香さんもモルBさんもCMを覚えていらっしゃるんですか。
私、ちょうどそのころテレビレス時代で(^^;)←今もだけど当時はもっと。
…こんなのばっかりなので、人様の記憶が頼りです。
よろしくお願いします。
投稿: けふこ | 2008年8月 7日 (木) 00時24分
麗香さん>
>モルBさん こんばんは はじめまして♪
-----
はじめましてっ♪
>テレビCMで、やっていました☆
>使った事のない私が憶えているくらいですから(^-^)
-----
やっぱりそうですよね^^
この頃はこれからのボールペンはすべて消せる方向になると思っていました(笑)
かなり浅はかな子供でした。
・・・っていうか、子供はふつう浅はかですよね(笑)
けふこさん>
>さらに調べたら、もう少しケルボは早く発売されていました
>販売期間はこれよりは長かったことになります。
>私はケルボをいつ買ったかまでは覚えていないんですよね。
-----
実はこの頃の文具の記憶って僕も曖昧なんです(笑)
シャーボはもちろん、ノートやシャープペンの芯さえも
CMでやっていたくらいの黄金時代だったので
様々な商品が頭の中でごっちゃになっています(笑)
投稿: モルB | 2008年8月 9日 (土) 16時10分
そうですよね☆
文具CM全盛期なのでしょうかwww
シャーボのCMは実演型でしたね
「右に回すとボールペン 左に回すとシャープペン・・・」という
解説付きでした
同じ時期に、似たような回転繰り出し式構造の2色ボールペンがあり、
この時の我々は、「右に回すとボールペン 左に回してもボールペン!」
・・・と言って、笑いのネタにしていました(爆)
ちなみのこの回転繰り出し式2色ボールペンですが、
「シャープペンシルとボールペンでシャーボ」というCMの紹介にあやかり、
ボールペンとボールペンで、「ボーボ」 と呼んでいました(核爆)
投稿: 松本麗香 | 2008年8月10日 (日) 02時43分
こんにちは
モルBさん
その文具を買ったときに何年生で何に使ったとかが結びついていないと、年代の特定は難しいですよね。
それでも、みんなの記憶を合わせれば、だんだん正しい時代に近づいていくものだなあと思いました。
麗香さん
「ボーボ」…(←噴いた)
製品の確定はできませんけど、「キャップを右に回して黒、左に回して赤」の2色ボールペンは、セーラーの「マルチボ」、軸を回して赤・黒を選ぶタイプはパイロットの「2色ボールペン(製品名不明)」が該当します。
どちらも1985年発行の『文房具の魅力』に出ている商品です。
1977年のシャーボ発売の頃にあったかどうかは不明ですが。
子どもはCMネタでいろいろ楽しむものですね。
投稿: けふこ | 2008年8月10日 (日) 13時34分