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「ノンボテ」ボールペンを調べてみたら… その5 プロの記憶とレファレンス

(「『ノンボテ』ボールペンを調べてみたら… その4 ステーショナリー タニィによる調査」の続きです)

ステーショナリー タニィの店長さんである谷泉さんは、学生時代に「はなや文具店」というお店でアルバイトをしていたそうです。
アルバイトといえども、お休みは週一のみ。それゆえ、担当商品が決められていて、谷泉さんの担当は熨斗袋と筆記具で、その商品の品出しを毎日していらしたそうです。

私が「ノンボテ」の質問をしたときに、ご自分がアルバイトに入った頃には見かけなかった商品だからと、はなや文具店の「専務」をしていらした方に聞いたら(「専務」と「 」がついているのは当時のものだからです)、「三菱の商品だ」というお返事で、そこから三菱のお客様相談室に問い合わせてくださったのでした。

そのときも、受け付けの女性は初め「ノンボテという商品はありませんが、エアペンという品名のものはありました」だったのが、エアペンの商品画像を見て初めてそこに「NONボテ」という名前が印刷してあることに気づいた、ということです。

このことから「ノンボテ」にたどりつくまでには、いくつかの条件があることがわかります。

1 およその商品発売時期がわかる

谷泉さんは、自分がバイトをしていた時期には三菱の加圧式ボールペン「スペースラブ」を売ったという記憶をお持ちでした。
「ノンボテ」はその時期になかったものだから、それ以前のものだろうと見当がついています。

2 知っていそうな人がわかる

谷泉さんは、それなら「専務」さんがご存じだろうと考えて質問します。
「専務」さんは、この道40年近くの生き字引のような方だそうです。

3 会社名がわかる

「専務」さんは、「加圧式ボールペン ノンボテ」だけで、「三菱の製品」だとおわかりでした。

4 適切な質問を製造会社にできる

会社に聞けばわかるのが当たり前だと思われそうですが、「お客様相談室」に聞けば必ず望んだ回答がくるわけではないことを私は知っています。

何でもそうですが、「回答」は、相手の知りたいレベルに合わせてなされるものです。
小学生に専門用語を駆使する回答はしませんし、専門用語で質問してくる人に通りいっぺんの回答もできません。

私はある文具会社に質問をして、一応、納得のいく回答を得ました。
しかし、カタログの写真に説明と矛盾するものがあり、これはどういうことなのかと重ねて質問をしたら、担当の方から電話がかかってきて、こういう理由であるから、と、もっと詳しい説明を聞くことができました。
質問する側に予備知識があるのとないのとでは、得られる回答が全然変わってきます。

私が三菱鉛筆に質問をした場合、ノンボテの発売時期や会社名があいまいであるために、「エアペンの愛称」までたどりつかなかったのではないかと思います。
「お探しの商品は、残念ながら当社の商品には見当たりませんでした。」となった可能性もあります。

まして、この場合、担当者は初め、ノンボテが見つからなかったのです。
おそらく、その人が入社前の古い商品名に精通することなど無理な要求です。
しかし、そこに「この時期、貴社から確かに出ていた製品です」というはっきりした情報があればこそ、「ノンボテ」までたどりつくことができたのだろうと思います。

ステーショナリータニィの店長さんと「専務」さんは、ご自分たちが扱っていた文具のことをよく覚えておいででした。
次から次へと新製品が出る中、消えていったものも、その性能や評判も。
そこには、扱う商品をよく知り、記憶し、誠実に向き合うプロの姿がありました。

「専務」さんは、「文具店は、商品だけでなく、(文具の)知識を売る」というのが口癖で、アルバイトにも、見本市、展示会にはできるだけ参加できるようにして下さったそうです。
(余談ですが、コピー資料を送ってくださった封筒の文字にはびっくりしました。筆文字です~^^ 自分の住所や名前が別物のように美しく思えました。)
ステーショナリータニィにも毎日顔を出していらっしゃるようです。

今回、「ノンボテ」を調べることで、文具を愛するプロの人たちがいるお店に出会えたことは、私にとって大きな喜びでした。
ステーショナリー タニィの店長さん、「専務」さん、私のはずみのような質問に、たくさんのお時間を割いて、こんなに詳しく回答してくださってどうもありがとうございました。

それから、三菱鉛筆の地道な努力を知ることができたことも今回の収穫です。 (続く)

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