ステーショナリー タニィの秘密6 「専務」さんの技2
(ステーショナリー タニィの秘密5 「専務」さんの技1 の続きです)
☆ある時 精密修理屋さん☆
お店に行くにあたり、以前から店長さんに画像がほしいと言われていたプラチナの加圧式ボールペン「金さん」を持っていくことにしました。(「金さん」について 詳しくは ノンボテその2 へ)
これは未開封のまま保存していたのですが、行く前に袋から出してみたら、あら~ ノックしてもちゃんと芯がでません(^^;)
雰囲気としては、ねばついているか、ばねが馬鹿になっているかのような感じ。
一応、がちゃがちゃしたり、芯を外してみたりして、文字がまだ書けることは確認しましたが、下手にひっぱると壊してしまいそうで、何しろ古いものだからしかたないとそのまま持参。
で、お店で「金さん」を出して撮影などしてもらったのですが、「ノックしても芯が出ないんです」と言ったところ、お二人の目がきらん☆と輝いた(ような気がする)。
「これってエラストマーが…」「インクが…」(←わかっていない私)
で、専務さんは、レジ台の上だの引き出しだのから、いろいろな工具を取り出して、ボールペンの軸だのばねだのをこりこりといじりはじめました。
で、おそらく10分もしないうちに、金さん復活~!
「書いてもいいですか」と言われ、金の線がなめらかに出てきて「おお~さすが加圧式」となったのですが、さすがなのは専務さんの方ですってば。
きっとこんな具合で、「シャープペンが壊れた」とかも直してくださるのだと思います。
引き出しには、芯の太さを測れる機械(体重計のような目盛りのアナログタイプ)も入っていました。
替え芯が何mmか忘れてしまっても、測定してもらって無事解決です。
※なお、店長さんの鑑定によれば、「金さん」本体は500円のものだろうということでした。
これが金色ボディに金インクで千円って、ちょっと暴利?
☆あるとき よろず相談員☆
タニィに入ってきたお客さんが、洋服の革ベルトを差し出し、「これに穴をあけることのできる道具ってありますか?」
…それって、文具店の領域ではないのでは?(^^;)
「それは特別な道具だからねえ。そのお店でやってくれないの?」と専務さん。
「できないって言われたんです」
お店も自作の服を売っているわけではないから、そういう細かいことは難しいのでしょうね。
「錐であけたらどんどん広がってくるし、見た目が悪いから駄目」
でも、専用の穴あけはホームセンターとかでもなかなか見つからない道具らしいし、高いそうな。
(小さな穴だからハト目では無理みたいでした)
「一番簡単なのは、彫刻刀の丸刀の小さいので開けることなんだけどね」
なるほど。半円と半円で丸になるのね。
でも、かなり小さい丸刀が必要で、普通の彫刻刀セットに入っているようなのでは駄目だそうで。
専務さんは版画をされるようなので小さい丸刀をお持ちだと言うことでしたが、今ここにないので、とりあえず、店長さんが、そういう道具を使っていそうな靴屋さんやリフォーム屋さんなどを紹介していました。
この場合、完全な解決ではないけれど、いろいろな案やありそうな場所が次々に出てくるのに驚きました。
※帰りに、浅草橋のシモジマで、パワーグリップ彫刻刀の小さな丸刀のバラを見つけたので、そういうときのために購入してきました。
でも、あのお客さんは、ベルトがゆるくて穴を開けたかったのよね。…かなりうらやましかったりして。
あたかも、怪人二十面相のごとく多様な顔を持つ安楽椅子探偵のような「専務」さんを有し、日々、ステーショナリー タニィは、よろず相談所か駆け込み寺のような賑わいを見せていることと思います。
(そういうお客さんがこの日はほんとうに多かった!)
お客さんの要望が満たされる、商品を選んで置き、製品を探し、あるいは方法を考える。
これは、お店の原点だと思うのですが、現実はなかなかそうもいかないようです。
(続く)
→ ステーショナリー タニィの秘密7 面倒見の良い店長さん へ続く
→ 関連記事を カテゴリー シリーズ:ステーショナリー タニィ にまとめました。
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