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祝☆復刊 『みにくいおひめさま』

絶版書籍を再び読みたいというリクエストを集めて、リクエストが多ければ版元と復刊交渉をしてくれる「復刊ドットコム」から、児童書の『みにくいおひめさま』(フィルス・マッギンリー☆作 間崎ルリ子☆訳 中川宗弥☆ 画 学習研究社)の復刊のお知らせメールが来ていました。
100人以上の復刊リクエストがあったそうです。
(再版は瑞雲社より)

この本は、子どもの時に読んだ現物をいまだに持っています。
初版は昭和43年。当時の本らしく紙ケースに入っています。

以下は、復刊ドットコムからの本のあらすじです。

本書は、ある王国のひとり娘エスメラルダの物語です。

わがまま放題に育てられた彼女の周りには、いつもお金や物があふれていました。そう、彼女は「世界一しあわせな女の子」だったのです。たったひとつを除いては…。何でも手に入れることのできた彼女が唯一手にできなかったもの、それは「美しさ」。国中の誰もが嘆くほど容貌が美しくなかった彼女を見かねた王様は、美しい姉妹を育てた普通の家に彼女を預けることにします…。

彼女がいかにして「真の美しさ」を手に入れていくのか、そして本当の「しあわせ」とは何なのか。その答えはあなた自身の目で確かめてください。世代を越えて読み継いでいきたいこの傑作童話を、ぜひこの機会にお読みになってはいかがでしょうか!

Photo その国での良い器量の条件は「りょうはしのあがった口と、下をむいたはなと、いきいきとかがやく目」。
でも、王女エスメラルダは、鼻が上を向き、口はへの字にまがり、目は、きれいな青い目だったけれど輝きがなかったのです。
その王女が内面の変化とともにだんだん美しくなっていく過程に説得力があって、でも、お説教くささがなくおもしろい。
たぶん、題名「みにくいおひめさま」というのにもすごくインパクトがあって、忘れずにいた人が多かったのではないでしょうか。

この話の中で、一番印象に残っていたのは、お菓子の「マフィン」です。
マフィンは王女の好物で、それを食べたいなと思った彼女が初めてお菓子作りに挑戦するのです。
当時、自分のまわりには「マフィン」なんてものは存在せず、でも、他の童話では見たこともなく、詳しい挿絵もないので、文章から想像するしかありませんでした。

 こんな雨の日など、ランプにひがともされて、おぼんの上にマフィンがのってでてくるのだったということなどを、おもいだしていたのです。べつに、かなしいわけではありませんでしたが、なにか、せつないようなかんじでした。
 そして、きゅうにまた、あのあたたかくて、ぱりぱりしてて、バターのたっぷりはいったマフィンを、たべてみたくてたまらなくなりました。

(中略)

 どうやらざいりょうがまざり、オーブンにおさまりました。
 みんなが目をさまして、エスメラルダをさがしにやってきたとき、ちょうどこのかわいい王女は、とくいまんめんで、ふちがかりかりしたきつね色のマフィンを、どっさりオーブンからとりだしているところでした。
(同書 P69~72より)

…ああ、すごくおいしそう。
「ぱりぱり」とか「かりかり」とかあるから、クッキーみたいにうすい感じなのかしら。
子どもの私の想像では、オーブンの天板に、ホットケーキの種のようなものを流し込んで、今ならタルトの皮の部分のようなかりっとした感じのできあがりで、これを切り分けて食べるのかなあと思いました。

そして、マフィンの謎がとけたのは、その約10年後。

大学生になったときに、ケーキ屋さんで「マフィン」と書いてあるお菓子を見つけたのですが、何と「カップケーキ」じゃありませんか!
嘘~! これのどこが、きつね色をしてかりかりなのよ~ 
しかし、その後見たマフィンはどれもカップケーキでした。

でも、私にとってのマフィンは、今もこの本から得たイメージのままで、憧れのおいしいお菓子です。

→ 詳しくは、復刊ドットコム 『みにくいおひめさま』の紹介&購入ページ

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コメント

こんばんは!
私も復刊コムで「みにくいおひめさま」に投票した一人です。
そして私も、紙箱の色あせた元本を持っていますv
そしてそして!
マフィン!わかります、その気持ち!
私も『あのマフィン』に、ずうーっと憧れていました!
おいしそうですよね、ものすっごく!
香りまでただよってきそうでした!

マフィンの衝動で書き込み失礼しました。
祝☆復刊!できるだけ多くの方に読んで欲しい本ですねv

投稿: えぬ | 2009年2月11日 (水) 01時41分

えぬさん
はじめまして
マフィンに共感してのコメントをありがとうございました^^

復刊ドットコムで、復刊に投票された方なのですね。
自分がほしいだけでなく、他の人にも読んでほしいという気持ちで投票したこと、私にもあります。
復刊を機に、いろいろな人に読んでもらえるといいですね。

本文を写していて、かなり難しい言葉が使われていたんだなと思いました。
今の小学校低学年向きの本にはたぶん「とくいまんめん」なんて言葉はないのではないかしら。
でも、文脈からおぼろげにそういう言葉の意味はわかっていたと思うのです。
新訳ではなく、このままの形で復刊されてよかったと思っています。

投稿: けふこ | 2009年2月11日 (水) 21時11分

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