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昔のビニール手芸の材料 ~金魚袋のビニールひも 関連~

金魚すくいの袋に通っている、赤やピンクや青の中空の細いビニールひも(ビニールチューブ)、商品名は「金魚紐」「ビニールヤーン」などになるようです。

昭和20年代中頃くらいから昭和40年代くらいまでに、これらの紐を使った生活雑貨や手芸(ビニール編み、ビニール手芸)が流行し、くずかごやおしぼり入れ、買い物かご、行李(衣装箱)、バッグなど、いろいろなものが作られました。
しかし、今ではすっかり廃れてしまって、このビニールひもは金魚すくいの袋でくらいしか見ることはありません。

資料となる当時の手芸本を探してみました。
Photo

左は、『ビニール手芸』(女性の友社 昭和29年)、右は『女性教室 新しい感覚のビニール手芸』(NHK 昭和31年)です。(本を探す方は「ビニール編み」や「ビニール手芸」で探すとよいと思います。)

『ビニール手芸』の中に、次のような文章がありました。

ビニール手芸は、それだけが技術的に独立したものではなく、毛糸、レース糸、その他のものでする方法を、ビニールという素材に置き換えたのに過ぎませんから、マクラメ編、棒針または機械編、鈎編、フィレー、コッポ、または織物と、その応用範囲は大変広いのです。しかしながら、ビニールの持つ特性を生かせば、実用的な面に目を向けるべきと思います。(同書 前書きより)

「フィレー」と「コッポ」は私にはどんな手芸かわかりませんが、先のように考えれば、糸やラタン(籐)などを編むタイプの手芸の方法で復活はできるということになります。
動物などを作るのには、水引細工の方法も使えると思いました。

また、『女性教室 新しい感覚のビニール手芸』には、

・戦後、小包用の紙紐で買い物袋を作り始めた
・汚れるので作品にラッカーやビニール液をかけたり、はじめからそういう加工がされた紐も売られるようになったりした。
・4~5年くらい前(昭和26~27年頃)から電気の絶縁用のチューブで編むようになり、紙芯の入ったものなどができてきた。
・一昨年くらい(昭和29年頃)、太めのビニールパイプを用いるようになった。
・昨年くらい(昭和30年頃)、アベックパイプや木ビーズを用いるようになった。

と、ビニール手芸の変遷が出ています。(同書19ページ)

当時はビニール手芸が流行していたので、たくさんの素材が販売されていました。
画像は、『女性教室 新しい感覚のビニール手芸』の裏ページです。

Photo_2 各素材の名前ですが、おそらく、

・ビニールヤーン または ビニールチューブ(赤、青の細い紐) … 当時価格 極上もの100m150円、中位のもの100m70~80円、おもちゃ用のもの100m30円~50円
中に、紙紐、糸、金銀糸などの通ったものもありました。

・ビニールパイプ(白、赤、緑の太いもの) … 当時価格 4mmパイプ1m5円 5~6mmパイプ1m10円~13円

・アベックパイプ(茶、青、赤の平たくて両サイドがチューブになっているもの) … 当時価格1m15円  これを短く切ったものは「アベックビーズ」という。

・すじ入りビニールパイプ(下中央の水色のもの) … これを短く切ったものも「ビーズ」として売られていた。
「オリンピックビーズ」という商品名がありますが、それかどうかは不明です。

アベックパイプに似た形は、テレビについていた黒いコードで見たことがあるような気がします。
元が絶縁用のものであったなら納得です。
また、私は、すじ入りビニールパイプを切ったビーズが透明な箱にぎっしり入って売られていた夜店の記憶があります。
子どものおもちゃとして、ビニールチューブやビニールビーズも売られていました。

Photo_3 なお、この広告を出した業者は浅草橋の商店で、その裏にも同じく浅草橋の糸屋さんの広告が出ていました。

なので、浅草橋に行った折に、ひもや手芸を扱っている店に片っ端から聞いてみたのですが、どこでも扱っていないと言われてしまいました

唯一「オパールヤーン?」という商品名を口にしてくれた人がいたのですが、こちらが素人なせいか、ご店主にさえぎられてしまって。

で、実際にオパールヤーンの製造元では、現在は卸売はせず直接販売だけだといっていましたから、きっと、金魚すくいの袋を作っているところでは、直接工場に注文を出しているのでしょう。

売っていないわけではないけれど、一般手芸用としては敷居が高すぎます。
でも、このひもの記事はしょっちゅう検索にかかっているので、探している人は多そうな気がするのです。

で、コメントをくださったありさかさんの探してくれたお店に注文を出してみました。
さて、幻の金魚ひもは手に入るでしょうか。
(続く)

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コメント

先日は質問コメントでお世話になりました。
最近おもちゃやとか手芸屋で金魚袋のビニール紐らしきものを発見しました。
1つはタカラトミーの子供用おもちゃでカラーコードとあります。
http://www.takaratomy-arts.co.jp/specials/kumihimoloomy/
あと同じような用途でエルベールという会社の商品とか他にもあったと思うんですが
ネットではビニール紐の情報はみつかりませんでした。
確かマーノクレアール(オカダヤ)かパンドラハウス(イオンの手芸屋)で見かけたと思います。
詳細に確認できなかったのでチューブ状かとか不明ですが取り急ぎご報告まで。

投稿: りょう | 2016年1月17日 (日) 10時16分

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