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2009年11月

五線紙がテープになった♪ 五楽線

銀座ヤマハに行くと音楽グッズコーナーを見るのが楽しみですが、この夏に見つけたのがこれ。

Photo 名前は五楽線(ごらくせん)、五線の一段だけが印刷されている紙のテープです。

楽譜を書いていると、1番と2番で一部だけメロディーが違っていたり、付け加えたいパートがあったりして、曲の途中だけ五線が二重になるようなことがあります。

大体、そういうときは、別の五線紙の五線を一段切り取ってきて貼って使うのですが、この五楽線には糊がついているので、そのまま好きな長さに切って貼ればいいのです。
しかも、貼ってはがせるテープなので、原譜に貼っても、必要なくなったらはがすのも簡単、といいことばかり。

Photo_2 五楽線の五線は、五線紙の中では細いほうになりますが、実際に使ってみたら、段の隙間に貼るのでそのほうが都合が良かったです。(画像の下から2段目の白い部分が五楽線。A4に12段タイプの五線ノートの隙間に貼っています。)

この他にも、譜めくりのときにちょうどいいように次のページの譜面を写して貼っておくとか、五線グッズを作る時の版下にするとか、ラッピングの時にはがせるシール代わりにするとか、いろいろな活用ができそうです。
値段は高め(定価480円)なので、あくまで補助的に使うのがおすすめです。

発売元はアリア ミュージックオフィス(ネットショップもあります)。
ヤマハ銀座店のほか、山野楽器銀座本店でも購入できるそうです。
楽天では、音手箱などの音楽グッズショップで購入できます。

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口と足で描く芸術家協会の製品支持者として

このブログへおいでくださる方の検索ワードで時々気になるのは、「口と足で描く芸術家協会 悪徳」とか、「口と足で描く芸術家協会 送りつけ」とかいうものです。

私は、口と足で描く芸術家協会のかわいいふせんや伝言メモなどが大好きで大プッシュしているのですが、他の記事で悪徳商法を扱っているため、検索ワードを含んでしまうわけです。

私自身は、この協会を悪徳商法、悪徳な団体とは思っていません。
個人的な理由として、

1、最近できた団体ではなく、長く活動してきたことがわかっている

記事昔のファンシーびんせん その7 はんぱものは、私が子ども時代に持っていたレターセットなどについて書いてありますが、その中にこの団体の旧名「世界身体障害者芸術家協会」の製品があります。(年代は1960年代後半~70年代前半くらい)
住所が存在するかもわからないような新興の組織ではありません。
日本での活動は1961年からとなっています。

2、とても誠実な応対をしている

だいぶ前のことになりますが、口と足で描く芸術家協会からメールをいただきました。
内容は、このブログの記事で協会のグッズをとりあげたことへの感謝と、その文章をカタログの中に使わせてもらえないか、というものです。
了解をしましたが、実際に引用に使われた文章は少しでしたし、そのくらいは「お客様の声」として協会側で作文できそうなものでした。
しかし、利用者の声として、本当に言われたものを相手の許可を得て掲載するという姿勢にとても誠実なものを感じました。

3、製品自体に問題がない

寄付を騙って高額で売りつける商法もありますが、ここの製品は妥当な値段ですし、品物に不備があったこともなく、市販製品にない良さがあって、いつも満足しています。

なので、悪徳商法と考える人がいることが不思議でした。

それで、調べてみると、「DMにカレンダーと振込用紙が同封されていて、気に入ったら購入してほしい、という文章があり、これは送り付け商法ではないかと不快になった」、というケースがいくつかのブログで見られました。

私自身は、職場へのカタログと個人でネットショップを見ての注文しか経験がないので(職場用には見本品が同封されていることはありますが、そのための振り込み用紙などはありません)、協会に問い合わせてみたところ、以下のような回答をいただきました。
(要旨です。実際は、とても丁寧で長い文章です。)

・口と足で描く芸術家協会は両腕を持たず病や障がいがある人が、絵画によって自立を目指すのが運動の方向であるため、商業面での開発が絶対に必要。

・過去48年間、全国の団体や個人にカタログを送って支援をいただいてきたが、状況が厳しさを募らせるばかりで、、協力依頼の輪をもっと多くの方々に広げる必要に迫られた。

・2006年冬から、ハローページで無作為に名前を選ばせていただき、見本品と手紙を同封し、自己紹介の上、支援をお願いするようになった。受け取る方にはどのような義務(支払い、返送、保管など)もないことを明記している。見本品同封は広報活動の意味も持っている。

・世界の国々では50余年前からこのような直送をして支援を呼びかけているが、日本ではこのような方式がなかなかご理解いただけず、しばしば辛い返信に接する。日本の人々が別の感じ方、考え方をすることを協会の世界の方々にも理解してもらえるように努力する。

・より抵抗感の少ないご支援ご依頼方法を考え模索していきたい。

とのことでした。

世界の国々では広く行われていることだが日本ではこういう方式が理解されない、というのは私にも思い当たることがありました。

以前、アメリカで海外通販のとりまとめをしてくださっている人がいたのですが、その人は自分の住所のところに毎回異なるしゃれたリターンアドレスシールを貼っていました。
うらやましくて聞いてみたら、アメリカでは、いろいろな寄付を集める団体がこういうシールを作って送ってくるので種類があるのだとか。(リターンアドレスシールは雑貨カタログなどで販売もあり、かなり安価でした。数字とアルファベットだけのためでしょうか)
 海外の寄付金による住所シール他の例は、ブログ日々雑感の記事寄付の季節などに詳しいです。

そんなことを忘れていたある日のこと、ユニセフから自宅へ、私の住所シールが同封された寄付の依頼のDMが来ました。
ユニセフのことを知らなかったわけではありませんが、私は寄付をする気になれませんでした。
共同募金でユニセフに募金をしたことは何度もありましたが、個人で一度も寄付をしたことがなかったので、どこから自分の住所を知ったのか、なぜ自分に送ってきたのか、という不審が先に立ってしまったからです。
(当時は世帯主でもなかったので、電話帳からということもあり得ませんでした。)
今も、ユニセフには、団体を通しての募金のみをしています。
(注:私はユニセフと日本ユニセフの違いがわかっていないレベルです。)

それより前に、「国境なき医師団」からDMがきたときも、この団体について何にも予備知識がなかったので、やはり「どこの関連でDMが来たのか?」という不審が先に立って、寄付をする気にはなれませんでした。
どこからの紹介で、とか、何をした人にお送りしています、という一言もなかったのです。

今は、個人情報への意識が高まり、住所漏れにはもっと神経質になっている人が多いはず。
仮に世界で普遍的な方法でも、日本には向かない方法だと思われます。

販路拡大が課題だとしても、送り付け商法と間違われたのでは意味がありません。
カタログだけの送付、というのを提案してみたのですが、それでも不審に思う人は不審だと思うだろうし…大変難しいです。
作品の絵画展を行っているようですが、まだまだ知名度が低いようなので、もっといろいろな場でできたらいいと思います。
どこかにリアル販売コーナーなどが常設されているといいのですが、コスト面でひきあわないでしょうか。

今年も、冬のグッズがいろいろ出ています。
私はカレンダーやカード類よりも、メモや付箋などにかわいい絵柄のついたものが好きで、今回も福袋を含めていろいろ購入しました。
たぶん、私は、この団体がどうとかよりも、製品自体(価格と内容)に満足しているので、あまり気にならないのだと思います。
なかなか見かけない、ちょっとかわいい、役に立つ文具やグッズをたくさん作って販売している団体です。
関心のある方、コミュニケーションの小道具として、ぜひ一度お使いになってください。

→ 口と足で描く芸術家協会ネットショップ

今回のお気に入りはマスコットスティッカー(型抜きタイプのふせん)「ネコの奏でるミュージック」「どんぐりを拾うリス」です。

【このブログの関連記事】

→ 冬のかわいいふせんあります~口と足で描く芸術家協会の紙製品~
イラスト入り、ダイカットタイプなどのファンシー文具や、気になる福袋の中身などを紹介しています。(今年はこのクリスマス箱タイプがなくて、ちょっと残念)

→ かわいい伝言メモ その実力
ポストイットタイプでイラスト入り、落ちなく伝言が書ける私のお気に入り製品です。

→ お道具箱の中身5 ~付箋その他~

→ 猫もかわいい☆この冬の 口と足で描く芸術家協会製品☆
 2011年冬のグッズを紹介しています。
 

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30万アクセス ありがとうございます

5月30日に20万アクセスを超えたこのブログですが、本日、アクセス数が30万を超えました。
本人がまめに書いていない折、読んでくださったみなさまのおかげです。
どうもありがとうございました。

【過去4ヶ月間のブログ内アクセスランキング】
2008.8.1~2009.11.24

《記事の部》

1 ケシカスくん文具セット ネット通販あります ☆追記 消しゴム単品もあり
2 かわいい伝言メモ その実力
3 本物(モノホン)ケシカスくん カスプレ大百科 発売中☆
4 桜の切り紙とその応用
5 朝顔の葉の折り方
6 ぶどうの折り方
7 栗の折り方
8 フェリシモ500色色鉛筆復刻 ~フェリシモ500色色鉛筆のあれこれ 番外
9 激安イベント? (株)グットヒルの広告を読む
10 私流 ウルトラマンの折り方

《カテゴリーの部》

1 折り紙の折り方・工作
2 ジスマーク関連
3 折り紙(紙そのもの)
4 文具~なごむ~ 含 ファンシー、キャラクター
5 文具~紙製品~
6 シリーズ:フェリシモ500色色鉛筆
7 文具~スタンプ関係 シール~
8 音楽グッズ
9 文具~貼る・はがす~
10 金子功関連

ええと、
ケシカスくん折り紙が上位独占って感じですね(…何のブログだっけ?^^;)
といっても、一番上位の記事のアクセス数でも、ブログ全体に占める割合は2%ちょっと、10位ではすでに1%を割っているので、アクセスはけっこうばらけている感じです。

500色色鉛筆は頒布時期と重なったせいでしょうし、実際記事が多いのですが、相変わらず強いジスマーク記事は、どうも学校の課題の役に立っている様子です。
金子功さんのブランドクローズから2年が経ちますが、衰えないアクセスは、今なお金子さんを慕うファンの方が記事を探されているからでしょうか。
(記事はあまり書いていませんが、金子さんの服も補完し続けています。)
しかし、今なお衰えない悪徳・問題商法関係はなんとかならないものか。

かわいい伝言メモ その実力へのアクセスは、「伝言メモ」そのものがほしい人と、「口と足で描く芸術家協会」を調べてアクセスして来た方とに分かれると思います。
(口と足で描く芸術協会については、気になる点を別途問い合わせして回答をいただきましたので、また別に記事を起こします。私は「悪徳商法ではない」と考えています。)

最近は、記事の関連で、情報の提供やリンクをしてくださる方が出てきて、とても助かってありがたく思っています。
これからもよろしくお願いいたします。

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左利き用定規に思うこと

線を引こうと思って、その人の机の上の定規をちょっと借りたら、
あ、あれ? あれ?
0はどこっ? 
Photo 思い切りうろたえたら、
「それ、左利き用です」と言われました。

左利き用はさみ、とか、左用鉛筆の持ち方補助具とか、左利き用切り出し小刀とか、左利き用習字の書き方本などがあるのは知っていたけれど、定規があるのは知りませんでした。

定規を右手で押さえて左手で線を引くのだったら、0は右端にあるほうが理にかなっていますよね。
Photo_2

これはクツワの左利き用直線定規という製品ですが、右利きの私が使おうとすると使いにくいのなんの。
補助的に左端からの目盛りがついているけれど、読むのなら刻みに近くて大きな数字の方が断然いいもの。
逆にいえば、左利きの人には使いやすいはずで、左利きの人は、こういう細かなところでも苦労があるんだろうなと思いました。

広瀬正のSF『鏡の国のアリス』で、主人公は左右逆の世界に行ってしまいますが、元の世界で左利きだった彼は、パチンコ台のレバー、自動販売機のコイン投入口、トイレットペーパーや水洗レバーの位置、と、たくさんのものが自分の使いやすいように標準化されていている世界に驚きます。
私は右利きなので何も考えずに生活していますが、たぶん、世の中は、まだまだ気づかないところで右利きに都合よくできているのでしょうね。

そんな中で、はっきり「左利き用」の定規を出してきたクツワは素晴らしいと思います。
両方から読める定規も作っているけれど、これははっきり左利き優位なのがよい。
自分の使いやすい道具の方が、効率的に正確に作業ができるのは当然です。
クツワはこのほかに、左利き用三角定規も出しています。
(分度器は元々両側から目盛りがついているし、右利きでも両側から読むことになるから、そんなに問題はないようで、左利き用はないようです。)
こういう、盲点になっているような道具が開発されて、普通に売られるようになるといいなと思います。

ある意味、どちら側からも公平に目盛りが読める「竹ものさし」って最強かも♪
必要なら自分で好きな側から数字を振ることも可能ですし。

左利き用直線定規、三角定規は、楽天では、以下のリンクから購入できます。(メール便可)

   

余談ですが、
ファンシーもの肯定派の私ですが、子どもの定規の色柄物には反対です。(コレクターズアイテムなら別ですが、実用品として。これは消しゴム本体も同様。)
かわいくったって、余計な色柄やキラキラで目盛りが読みにくいのでは、作業しにくく間違いの元です。
入門期だからこそ、シンプルで使いやすい道具が必要です。
鉛筆に柄がついているのとはわけが違うと思います。

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おもちゃ売り場と文具売り場を行き来して… ~『王様の仕立て屋24』~

その世界のことを理解していないのに、なぜかおもしろくて読んでいるマンガがいくつかあります。
(たとえば、運転もできないのに『頭文字D』を読んでいるとか)
そのうちの一つ、『王様の仕立て屋 ~サルト・フィニート~』(大河原遁/集英社 ジャンプコミックスデラックス)は、紳士服仕立てものがテーマで、まったく自分とは無縁。
読んでもたぶん蘊蓄やら用語やらは頭に入っていないだろうに、主人公の凄腕特急仕立て屋 織部悠 の、手先は素晴らしく器用なのに、生き方が思い切り不器用なところにたぶんはまって、ついに24巻まできてしまいました。
物語の基本は、仕立て服による装いの変化で、周りに与える印象や人生までもが変わるというもの。
これに、親子やブランド同士の確執や、美形の女性陣やら居候の少年やらが絡み、毎回楽しみな内容になっています。

24巻は、珍しく文房具売り場の出てくる話です。
第143話「灼熱の血潮」(←しかし、この題でこの内容を想像するのは相当難しいかと…私がわからないだけで裏の意味があるのかな? オペラや映画の名前が使われていたりするので)

イタリアの高級文具店「ピナイデル」に40年勤め、定年退職後、デパートの文具売り場で高級志向の文房具を扱う一画をまかされているコロンナ氏は、忙しいフロアを手伝ってくれと言われて、時々おもちゃ売り場にも出向かなくてはならない。
やっと手に入れた自分の至福の空間を守るためならと、慣れないおもちゃ売り場にも立つコロンナ氏だが、高給文具売り場の雰囲気の知性的なスーツ姿は子どもにもなつかれず、若いお母さんたちはコロンナ氏に目も合わせない。
趣味人相手に人生のほとんどを費やしてきた彼には、この境遇はストレスもたまる。
かといって、おもちゃ売り場に合った格好をすれば、急に呼ばれて文具売り場に行くときに支障がある。
(さらに、おもちゃ売り場にいるときには、メーカーの販促用のバッジやマスコットを服につけなくてはならない)
この二つの売り場両方に馴染んで、新しい客層である若いお母さん方にも好かれる服装とは? というのが、今回のお題。

今回は、女性ばかりのブランド「ジラソーレ」が服の原案を考え、織部が助言する形で問題を解決します。
どちらの売り場にも馴染む服装、さらにそこに施された秘策とは? ……

注意: ピナイデルの蘊蓄は一コマだけです♪

ようやくコミックス化されましたが、この話の内容を連載中に教えてくれたのは、松本麗香さんです。(「スーパージャンプ」7号 2009.3.25 掲載)
ありがとうございました。
(→ 麗香さんのブログ Leica a la carte へ) 

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1000拍手、ありがとうございます

表に出ているデータではありませんが、本日、このブログに設置している拍手の数が、1000を超えました。

ココログには拍手機能がないので、拍手ボタンのあるブログがうらやましく、途中からFC2のブログパーツをつけています。
(なので、まだついていない記事もあり)
ランキングには参加していませんが、拍手の状態を見ると、ああ、この記事を気に入ってもらえたのかな、ととてもうれしいです。

以前は、ジスマークや金子功さん関係の記事に、どなたかおひとりで集中して拍手をしてくださったものが目立っていたのですが、最近は、新しい記事から過去記事まで拍手をいただいているのが励みになっています。
しばらく取り上げていない話題に拍手が入っていると、あ、これの続きを書かなくちゃ、と思ったり。
拍手の時間や記事がばらけていると、どんな方がくださったのかな、とログをたどってみることもあるのですが、携帯によるアクセスであるのか、解析されなかったりもします。

拍手の多い記事はどれかをを書こうと思ったのですが、更新してみたら、サイトがサーバーダウンでもしているのか、今は表示されません。
たぶん、文具より、ジスマークとか、悪徳商法とかのほうが拍手が多い気がします^^;

記事の更新が亀になっていて申し訳ありませんが、これからも、もし気に入った記事がありましたら、よろしくお願いいたします。

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オルゴールメリーのエッセイ ~金魚袋のビニールひも 番外~

金魚袋のビニールひも(金魚すくいの袋に通してある赤やピンクの中空のビニールチューブ)を編んだ手芸「ビニール編み」の材料や編み方について調べています。

先日、このビニール手芸をネットショップで通販していらっしゃるシミズさんからコメントをいただきました。
シミズさんは、ビニールひも手芸を復活させるべく、ネットショップでキットや材料を販売されている方です。(詳しくは、記事ビニールひもの編み方の参考本 ~金魚袋のビニールひも5~のコメント欄をご覧ください。)

シミズさんのネットショップ レトロポップベビー の画像を見ていたら、完成品の中にかわいいものを見つけました。

ベッドメリー というシリーズ。
ビニール編みのかごにキューピーさんが寝ていて、上にオルゴールメリーが吊るしてあるシリーズです。
オルゴールメリー、今はあまりこの形はないように思います。
プラスチックの赤やピンクの花形をつないで長くぶらさげた形。
天井から吊るして、回すと、ころんころんという音と、プラスチックのこすれる音が広がるあれ。
 
オルゴールメリー、懐かしいなあと思い、誰かのエッセイでこれに関する素敵な文章があったことを思い出しました。
オルゴールメリーを見つめる赤ちゃんの目、それを見る人の幸せ、やがてはオルゴールメリーが不要物となりほこりをかぶってけっこう面倒だったと捨てられてしまうまでを描き、自分がオルゴールメリーを買ってもらったことは忘れてもその思いは残る、というような、抒情に流れず、でも温かい美しい文章。
そうなったら気になってしまい、本棚をあちこちひっくり返して、その文章を見つけました。

増田れい子さんの『一枚のキルト』(北洋社)です。(1976年の本なので、図書館などの方が見つかるかも)
細かい花柄などの美しい小さい布をひし形に切って組み合わせたキューブキルトを、写真に撮って柔らかいもみ紙風の紙に印刷した装丁の小型本できれいです。(このパッチワークキルトに関するエッセイもあります)

その中の「オルゴール・メリーのある窓」という文章でした。
削るところのないような文章で、一部引用が難しいほど。

まず、冒頭。

 それを短くメリーさんと呼ぶ人もいる。赤ちゃんのための、ちゃらちゃらとまわるつるしおもちゃ。赤や黄やピンクといったおさない彩りのセルロイド(もっともこのころはプラスチックである)で花のかたちを切り抜き、それをいくつもつないで花づなのようにしたのを、何本もとりあわせて、房のようにしてある。それを生まれたばかりの赤ちゃんが、ふと目を見開いて空を眺めまわしたとき、さっとその瞳がとらえるように、天井からつるしておく。赤や黄やピンクの房が、くるくるとまわると、いっしょに「ゆりかごの唄」や「青い目のお人形」などの、やさしいうたが、ボロロン、ボロロンと、少し頼りなげに湧き出してくる。赤ん坊の黒い小さなひとみのなかに、セルロイドの赤や黄が、虹のかけらのようにくだける。赤ん坊は、ほんとうに見えているのかしら、どんなふうに見えているのかしら……おとなたちは、赤ん坊のひとみのなかの虹に見入るのだ。(同書 p.59~ 60より)

赤ちゃんと一緒に喜ぶ親の姿、オルゴールメリーの簡単な歴史、赤ちゃんに美しいものを見せたいという共通の願い、オルゴールメリーは「赤ん坊がはじめて見るこの世の花」。
窓辺にオルゴール・メリーの回る姿を見つけたり、オルゴール・メリーの音を聞くたびに、そこに赤ちゃんが生まれたのだという幸せを感じる作者。
そこに、「幸せ」という言葉は使われていないけれど、感じ取れます。
「オルゴール・メリーのある窓は、虹いろの雲がいっぱいにかかったようで、どんなぜいをつくした窓も、かなわない。」

やがて、赤ちゃんは、オルゴールメリーを見ているだけでは飽き足らなくなって、花をひっぱったりして壊してしまう。
ほこりにまみれたその破片は、分別ゴミの収集日に戸外に出してしまってそれでおしまい。

ひとはたいてい、赤ん坊のころ、親がつるしてくれた虹いろのオルゴール・メリーを記憶しない。だが、赤ん坊のためにそれをつるす。おとなになってはじめてオリゴール・メリーに触れ、そのとき突然自分もかつて親に愛されたのであろうというこそばゆく甘い思いの雲にふわりと乗るのである。(同書p.63)

今、読んでみてもやっぱり好きな文章です。
ほかにも、「手縫いのびろうど靴」「ぬり絵の喜一さん」「印花布の夏」「めりんすの匂い」「刺し子の布」「南京玉やビーズ玉」「花嫁のリボン」など、手芸や昭和レトロを扱った内容、そこに反戦の思いもしっかり込められたエッセイ集です。

ああ、何の本だったか見つけられてとてもうれしい^^

【金魚袋のビニールひも関連記事】

→ 君の名は? ~金魚袋のビニールひも~

→ 釣具屋は素材の宝庫☆ ~金魚袋のビニールひも 追記~ 

→ 昔のビニール手芸の材料 ~金魚袋のビニールひも 関連~

→ GETした金魚ひもは外国生まれ ~金魚袋のビニールひも4~

→ ビニールひもの編み方の参考本 ~金魚袋のビニールひも5~ 

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