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トンボ鉛筆の全面広告とトンボのマーク

今日、たまたま新聞を読んでいたら、トンボ鉛筆の全面広告が出ていました。
見慣れない赤いトンボマークが、色を塗っていない軸についています。
Photo

かなり情緒的な文章ですが、「100周年を節目にトンボのマークが変わった」ということのお知らせのようです。
日経プレスリリースの方では、

※ 新トンボマークについて
株式会社トンボ鉛筆は、2013年に創立100周年を迎えます。これを期して新トンボマーク(左)を制定、すべての製品に導入していく計画です。新しいトンボマークのハネの形は無限大を意味しています。無限の領域へ、無限の成長を遂げていきたいという思いを込めています。

  【注】リンク先は文の横に新トンボマークがある

と、もっと簡潔にわかりやすくなっています。


今までのトンボマークは、すべての製品についていたわけではありませんが、軸を横にして印字が正しく読める状態で、トンボが頭を下にしていました。

でも、写真の鉛筆を見ると、今度のマークは頭が上?
軸に横書きに文字を印刷した場合、トンボマークは横向きになり、筆立てに芯を上に入れれば、頭が下とも言えそうです。

トンボの向きにこだわってしまったのは、通常上向きに使う意匠のトンボを下向きにしたのは、「お客様に頭を下げる商いの精神」と聞いたことがあるからです。
『有名企業社名とマークの秘密』 本間之英 学研 には記載があります)
飛翔の方が今は重視されているのかなと思って。

それで、トンボ鉛筆の創始者の小川春之助さんの奥さんの 小川とわさんの書かれた『蜻蛉(せいれい)日記』を見てみました。
この本は、鉛筆製造の創業からのできごとが製造の当事者の視点からわかりやすく書かれていて、「三菱トンボ」という登録商標を出した鉛筆業者との訴訟のことなども見つかり、資料としてもおもしろいものです。
(→ 「三菱トンボ鉛筆」については、cyc​lin​gpe​nci​lsさんの記事究極のパクリ、三菱トンボ鉛筆?! 駄目な文房具ナイトEX『文房具超人サミット』に出演しましたに記載があります。)

この本によると、トンボのマークが決まるまでのいきさつは、

・竜文堂という文具商店の番頭さんの石山五七郎氏から、宣伝のためにはマークが必要だと忠告された。

・特許事務所に勤めていた林猪助氏から、杉江鉦三郎氏が考案したトンボのマークが20年の登録期限が切れてあいているので、使うようにしたらどうかと勧められた。

・店の方でも、杉江氏の血を引く政明氏が、トンボ印をご主人に勧めていた。

トンボは一名あきつ(秋津)といい日本国の象徴だという説がある。また勝ち虫などとも言われ、昔武将の兜の正面の装飾などにつけたものだそうで、とにかく上向きの縁起のいい虫である。私のところでは、この許可をとる時、専門のデザイナーに依頼して、ヤンマを型どった図案をいくつか描かせ、その中から、現在の図案を採用した。同時に、書家に依頼して、片仮名の「トンボ鉛筆」という文字を決め、さらに英文で書く場合にはTOMBOWとWの字をつけることにした。英語で TOMB(ツーム)といえば「墓」という意味であるから、これとの誤読をさけるためである。

  同書 P.107より

・トンボのほかに、「工場印」というのこぎり型の屋根を形取ったマークと、「ブリッジ」という橋を図案化したマークも申請し、許可が出た。

・しかし、一番トンボが泥臭く思え、易者と人相見の大家に見てもらったが、「トンボのマークが一番良い」という結果だったので、トンボのマークを使うことに決まった。

ということです。
ここには、特にトンボの向きについて書かれていないので、最初のデザインの時点ですでに下を向いていて、それについては先の理由でもめなかったのかもしれませんね。
一番泥臭かったマークが一番良いといわれたあたりも興味深いところです。
昔から馴染んだ社のマークを、いろいろな理由でデザインし直す会社も多いですが、前の方がおもしろかったのになと思う私は昭和レトロな人間です。

【おまけ】 今日、職場の中に飛び込んでいたオニヤンマの画像。雨宿りだった?
Photo_2

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