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トンボ鉛筆の広告の筆箱と、手作り筆入れ(昭和9) ~筆箱事情調査~

昭和9年(1934年)の『少女倶楽部』の付録、『少女新手藝ブック』を入手しました。
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ページを開けたら、表紙裏に トンボ鉛筆 と 三星ゑのぐ の広告が出ていました。
こういう偶然はうれしいものです。
トンボ鉛筆の会社名は「小川トンボ鉛筆製作所」となっています。
「筆記用にはHB印、F印、H印、図画用にはB印から6B印、製図用には2H印から6H印までのトンボ鉛筆が適して居ります。」と、当時から鉛筆の濃さにはたくさんの段階があったことがわかります。
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トンボ鉛筆は、セーラー服の女学生が机に向かって、ノートに鉛筆で横書きに何かを書いている絵で、その横に筆箱の絵があります。
これは、半開きの薄い缶ペンケースのようで、蓋に「TOMBOW」のロゴとトンボマークがついているのが確認できます。
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缶ペンケースというより、缶に鉛筆を入れて売っていて、買った人はそれを筆箱にしていたのではないかと推測します。
缶入り鉛筆がいつごろ多かったのかは私にはわかりませんが、いろいろな本を見ると、国産でもヨット鉛筆やキリン鉛筆など、いろいろなメーカーから缶入り鉛筆が出ていたようです。
戦争で金属供出が行われるよりも前のものだと思います。
鉄鋼の配給規制や金属の回収が行われるようになったのが1937年、金属回収令でおもちゃから何からみんな回収されるようになったのが1941年ですから、この冊子の時代は、まだ統制が特になかったと思われます。
雑誌自体も、キューピーやベティちゃんが出てきたり(どちらも流行するのはこれよりも後)、カラーページが豊富だったりと、鬼畜米英時代とは異なります。

この冊子は、当時のいろいろな手芸の作り方を紹介していて、材料セットの通販も行っていました。
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その中に、「ばら模様の筆入」がありました。
細長く切った布に刺繍をして、ブランケットステッチでかがり、端を折り曲げてスナップ留めにしています。

たまたまですが、このページの女の子も机で勉強しています。
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横には、身と蓋が分かれる黄色の筆箱があり、中に消しゴムらしい白いものが見えます。
箱の素材が厚く、角がはっきりしている感じなので、セルロイドではなく、木製か厚紙製かと思いますがどうでしょうか。
持っている鉛筆は小豆色に近い、赤っぽい色あいです。

別のページには、「クロスステッチの五角形筆立」もあります。
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これは作り方の記事がなくて、製品と材料と両方販売しています。
材料なら製品の半額ですが、実際はこの本を見て、手持ちの材料で考えて作る場合が多かったのではないかと思います。
この筆立てには、トンボ鉛筆風の黄緑の鉛筆にクリップがついたようなものが入っていますが、通常の鉛筆ホルダー(例えばパーフェクトペンシル)とクリップの向きが逆のような気がします。
胸に挿すような場合は、さらに鉛筆キャップをしたのかもしれません。
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手前の灰色のものは丸ペンのように見えますが、奥の赤い筆記用具?は何かわかりません。
その割に赤くて派手で存在感があります。

昭和9年(1934年)頃の女学生の筆箱事情

・鉛筆の入っていた金属の缶の利用、布製のホック留めのもの、箱型で身と蓋に分かれるものは存在した。
・布製のものは手作りされる場合もあった。

参考資料:『近代子ども史年表1926‐2000 昭和・平成編』

この本によると、キューピー人形の全盛期は昭和11年(1936年)、ベティちゃんの「子どもシール」は一銭玩具ブームの昭和10年(1935年)となっていて、少女倶楽部は流行を一歩先取りしていたか、流行の種をまいたかではないかと思います。
この本の年表は、多岐にわたる資料を参考に構成されていて、歴史的な事件の「社会」の項目のほかに、「家庭・健康」「学校・教育」「文化・レジャー」に関する制度や流行などを写真入りでたくさん載せています。『子ども史』『家庭史』があり、ともに、明治・大正編があります。

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