伊東屋

テレビで紹介される文具 -スマステ&ランク王国-

このごろ、文具関係がメディアで取り上げられることが増えています。
私はテレビのチェックはほとんどしないのですが、家人に教えられて見ることもあります。
5月28日の世界一受けたい授業の時は、けふこが使っている筆箱が出るよ、と教えられました。
その時にとりあげられたのは、「自立する筆箱 ネオクリッツ」と、「曲がってる定規 アーチルーラー」「ネジ型消しゴム  viss」で、人の役に立つ形という観点から取り上げられていました。
(余談ですが、私が筆箱の一つとして使っているのはクリッツのほうで、ネオクリッツはチューブタイプの化粧品やブラシや爪切りなんかを入れて卓上に置いています。便利。)

昨夜から今朝にかけて、文具が2つの番組で特集され、いろいろな文具が紹介されました。

【SmaSTATION!!】 6月4日 23:00~ テレビ朝日

進化を続ける最新「文房具」ベスト21(※放送順)
1 ステッドラーREG
  (芯の出方を調整できるシャープペンシル/ステッドラー) ※クルトガ オルノも紹介
2 テープ・デ・グー
  (長いテープも貼りやすいハンディテープカッター/ミタカ精工)
3 キリヌーク ※追記あり
  (1枚切りカッター/オルファ) 
4 ハンディーペーパーカッターライン
  (曲線が切りやすいマウス型カッター/長谷川刃物)
5 クリヤーブック ノビータ
  (背幅が変えられるクリヤーブック/コクヨ)
6 バイモ11 フラット
  (軽く40枚止められるハンディーホッチキス/マックス)
7 ホッチくる
  (中綴じホッチキス/マックス)
8 アナーケル
    (情報保護パンチ/ナカバヤシ)
9 クルッキル
  (ハンディシュレッダー/ナカバヤシ)
10 ペンカット
  (ペン型はさみ/レイメイ藤井)
11 Deng On
  (キーボードに挿す動物型メモ/ハイモジモジ)
12 リストイット
  (腕に巻く防備メモ/ハイモジモジ)
13 アーチルーラー
    (ずれないこすらない曲がっている定規/アッシュコンセプト)
14 裏から見えない修正テープ
    (情報保護文字が印刷してある修正テープ/プラス)
15 モノ・PS
  (テープリムーバーのついた修正テープ/トンボ)
16 手作りスイーツ消しゴム
  (手作りお菓子消しゴムキット/デビカ)
17 ネイルと消しゴム
  (スリーブに爪磨きのついた消しゴム/サンスター文具)
18 シールメーカー
  (好きな紙をシールにできる/ザイロン)
19 ポメラ
  (ハンディキーボードデジタルメモ/キングジム)
20 マメモ
  (卓上デジタルメモ/キングジム)
21 エアペン
  (手書きをそのままデジタル機器に送信するデジタルペン/ぺんてる)

銀座伊東屋人気ランキング ベスト5
5 スケジュール&仕分けファイル
  (書類を差し込むだけで落ちずに整理できるファイル/リヒトラブ)
4 新聞レンズ
  (文字を2倍に拡大するフラットレンズ/伊東屋オリジナル)
3 クルトガ
  (使うたびに芯が回転してとがるシャープペンシル/三菱鉛筆)
2 360ノート
  (360度折り返せるしなやかなノート/ジークエンス)
1 フリクションボール ノック
    (消せるボールペンノック式/パイロット)※他のフリクションシリーズも紹介

上のは銀座伊東屋アマゾン店への商品リンクで、伊東屋にはHPにネットショップもあり、そこで購入もできます。 → 銀座・伊東屋HP

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【ランク王国】 6月4日25:43~ TBS

文具王が選んだすごい文房具ランキング TOP10

10 テープカッター直線美
  (切り口がぎざぎざにならないテープカッター/ニチバン)
9 スタンド付ルーペPRO
  (机上に置いたまま使えるルーペ)/サンスター文具)
8 ツイストリングノート
  (ページの差し替えが楽にできるリングノート/リヒトラブ)
7 パワータンク
  (濡れた場所でも書ける加圧式ボールペン/三菱鉛筆)
6 とじ&トル
  (ボタン切り替えで簡単にリムーバーになるホッチキス/サンスター文具)
5 ドットライナースタンプ
  (スタンプのように糊づけできるテープのり/コクヨ)
4 バイモ11  
3 ペンカット  
2 スケジュール&仕分けファイル  
1 ハリナックス ※ 追記あり
  (針なしで紙が8枚綴じられる/コクヨ)

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同時期ということもあり、重なった製品も見られます。
もちろん、良い製品が何度も取り上げられるのは当然ですが、「まだこんなものもあったのか」という驚きは薄くなります。
また、ベスト21の方は、「最新」とうたいながらロングセラーの「ホッチくる」や自分で作る消しゴム(以前から「おゆまる」などがありました)が混じっていたりと、選定基準がよくわかりません。

人気があるとみると、あっと言う間に同じような企画が続出して、過剰に露出して飽きられてしまうことはよくあることです。
誰でも見たことがある情報になれば、わざわざ見る必要はなくなります。
既に、文具関係の特集雑誌やムックは最近続出しており、資料として購入はしてありますが、多すぎてきちんと読んでいない状態です。
本を断裁してデジタル化する「自炊」は絶対無理な私でも、似たようなものが多すぎると、たくさんでうれしいというよりも邪魔。
それよりも、分量が少なくても継続してとりあげてほしいのです。(その点、無料配布の『Bun2』は理想的です)
2012年以降の文具資料が激減なんてことがないようにと願います。

以前、がっちりマンデー(TBS) 2009年11月8日に放送された、多くのメーカーのフェルトペン先を製造しているテイボー株式会社の特集、日曜ビッグバラエティ(テレビ東京)2009年5月17日に放送された北星鉛筆開明墨汁の特集などは今でも覚えています。(番組については下部にリンクあり)
一つの文具を掘り下げても物語があるのに、どの番組も表面だけざっと流して「あらすごいね~」で終わってしまうのは残念です。
後追いになる番組は、違った切り口をもって、もっと文具の魅力を掘り下げてほしいです。

    ☆

私が持っていないもので一番気に入ったのは、両方の番組にかぶったスケジュール&仕分けファイルです。
現在私が職場でよく使っているのはテジグとクリップボードで、「資料を綴じないではさんでおくだけで落ちずになくならない」というのが好き(←つまり無精)
でも、数が増えるとどちらもかさばって大変なので、ぜひこのファイルを使ってみたいです。



それから、リストイット。
手にメモする代わりというより、目印として便利そう。
アイディア料が高いなという気はするけれど。


上の画像リンクは単色タイプで、10色セットもあり。

【参考サイト】

テイボーを取り上げた番組
→ JUGEM 「がっちりマンデー」地方がっちり~リバテープ・米吾・テイボー・中村ブレイス~

北星鉛筆と開明墨汁を取り上げた番組
→ Leica a la carte「文具が主役のテレビ番組
→ 日曜ビッグバラエティ「ニッポンの老舗! 家訓で守るこの逸品

【追記】
6月8日、日本文具大賞2011の優秀賞として、機能部門で、キリヌークハリナックスが選ばれたことが発表されました。
文具王のtwitterから知りました。)

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これも時代? 伊東屋のセールのお知らせ

メルシーカードを作ってメール配信を希望したため、伊東屋からメールマガジンが来ていますが、今日のメールマガジンにこんなことが書いてありました。

〔2〕☆青葉台店セールのお知らせ☆


青葉台店にて、「スクエアーバーゲンセール」を開催致します!!

期間:6/25(木)~7/8(水)

伊東屋オリジナル商品、及び直輸入品を20%OFFにて販売致します。
おまとめ買いの大チャンスです☆
他にも「その場で出来るスピード印鑑」や風雅印(住所ゴム印)、
実印・銀行印なども20%OFFでご提供致します。
是非、この機会を逃すことなくご利用下さいませ。
(尚、一部対象外商品もございます。またセール品に関しましては、
メルシーポイント対象外とさせて頂きますので、予めご了承下さいませ。)

2004年発行の『ステイショナリー・ワンダーランド―伊東屋の文房具たち』には、以下のように書いてありました。

伊東屋は、商品のセールや値下げは一切しません。それは、お客様ひとりひとりにいつでも同じ価格で購入してもらおう、という創業当初からの考え方。しかし、メルシー券をもらうことで、二回目のお買い物が嬉しくなる。

伊東屋に何度も行きたくなる理由は、ここにもありました。

(同書P.15 「伊東屋の魅力その3 やっぱりうれしいメルシー券」より引用)

なお、創業当時、どう書かれていたかは、明治43年発行の『伊東屋営業品目録』を見てみましょう。(旧漢字は新漢字に改めました)

各地より御注文の御案内(注:通信販売のページ)

(1)販売品定価の儀は総て廉価を旨と致し居り駆引等一切仕らず候。

「定価販売なのは、すべて安く提供しているからで、値引きなどは一切いたしません」ということでしょうか。

私は、伊東屋はそういうものだと思っていました。
ここの文具はすべて定価販売。
そのかわり、一度の買い物でもメルシー券をもらって顧客気分になり、それを使えば割引もしてもらえるのがうれしかったです。

しかし、メルシー券を廃止し、定価販売の堅持も止め。
(伊東屋には年に数回しか行かないので、セールがいつから行われていたかも知らないのですけど。)

同じく、メールマガジンでは、6/25(木)~7/12(日)の間、「Wポイントキャンペーン」(通常商品の3%のメルシーポイントが6%に。対象店舗は「銀座本店、玉川店、青葉台店、丸の内店、東京ミッドタウン店、パピエリウム ギンザ店、ITO-YA-e」)も行われる旨が書いてありました。

私だって、もちろん安く買えればうれしいし、文具のワゴンセールはチェックするし、近所の文具店のポイントを集めるのを楽しみにしている小市民です。
老舗デパートだって、クリアランス大バーゲンはまったく普通の光景です。

でも、伊東屋はそうじゃなかったのに。
まだ本の発行2004年から5年たっていないのに、この変わりようは何なのでしょう。
そのうち、銀座本店でもセールにかかるものがあったり?
「伊東屋ならでは」を次々にそぎ落として行って、一体何が残るのか。

伊東屋よ、Quo Vadis !

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【このブログ内の関連記事】

→ 伊東屋の営業精神 ~明治43年『伊東屋営業品目録』より~ その1

明治43年発行の伊東屋の通販カタログの表紙や序文を画像入りで載せてあります。(後編もあり)

→ ステーショナリー タニィの秘密8 小さな店にできること

それまで「文具のデパート」「置いてないものはない」という感じだった伊東屋の、取り扱い品目の変化について書いています。 

その他、銀座伊東屋の関連記事(新旧とりまぜ)は、

→ カテゴリー 伊東屋 へ 

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『文房具の歴史』(野沢松男)の筆箱考察 ~続・明治の舶来木製筆箱の図版~

このブログの先の記事 明治の舶来木製筆箱の図版 ~明治43年『伊東屋営業品目録』より~ その3 と同じ図版が、書籍『文房具の歴史』(野沢松男 文研社)のP.262~263に掲載されています。

筆者は、筆入れについて「どうやら誕生は日本のようだが…」と推測しています。
理由として、

「奇妙なことに欧米の学童は筆入れというものを持っていない。」
「最近のアメリカでは香港製の筆入れが一部で出回っているというが、日本のように学童・学生の必需品としての存在になってはいない。」
「ヨーロッパの文具店には、鉛筆、カラーペン、ボールペンなどが、数本セットになって筆入れのようなケースに入って売られているが、箱だけを商品として扱っている例は、まず見かけない。」

などをあげ、机がなくては書きものができなかった欧米では、筆記具とインクは机に付随するものであり、筆記具を携帯するというのは、巻紙と筆文化だった日本の特性。
ゆえに、その文化も日本で発達したものだっただろうというのです。

Photo_3 日本の学校教育も、石筆と石盤からはじまり、広く鉛筆が使われるようになったのは、国産品が潤沢に出回るようになった大正からだろうという推測です。
筆と墨なら筆箱は使えないわけで、鉛筆が普通に使われるようになり、それを持ち歩くために筆箱が必要になり発達したというのですね。

ただ、この伊東屋の舶来製筆箱の資料が残っているために、筆者も欧米に筆箱がなかったとは言い切れないようです。
(この本には「子供への贈り物として人気があったという。」と書いてありますが、カタログには先の文章しかないので(贈り物としてもってこいだと伊東屋がプッシュしている)、別に伊東屋から取材したのかもしれません。何しろ高価ですから、大勢が買えたとは思えず…

私は欧米一般の事情はわかりませんが、ポーランドには筆箱があると思います。
それは、以前ここに書きましたポーランドの児童文学『ぼくはネンディ』(マリア・コブナツカ:作 内田莉莎子:訳 山脇百合子:絵)の中に、主人公である粘土の人形ネンディの家として、はっきり筆箱が出てくるからです。
(→『ぼくはネンディ』の内容については、記事愛したのは文具のせい?~『ぼくはネンディ』~をご覧ください。)

改めて読んでみたら、これも木製筆箱でした!

 ぼくは、ねんどでつくられたちっちゃなにんぎょうです。
 だから、ネンディって名まえなんです。
Jpg  ぼくはすてきなうちにすんでいます。しきりのある木のへやです。ぼくのとなりのへやにすんでるのは、おでぶで色の白いけしゴム。「ネズミ」って名前です。けしゴムのすぐそばには、ぴかぴかでとんがったペン先が四本。はんたいがわにすんでいるのが、ペンじくとえんぴつとナイフ。
 ぼくは、はじめ、ぼくらのうちが、なんて名前か知りませんでした。でも、もう知ってますよ。ふでばこっていうんです。 (同書 p12)

 けさ、ぼくらはみんなで、トーシャがふでばこをカバンに入れてくれるのを、まっていました。それなのに、トーシャはぜんぜんきません。つくえの上でまちつづけました。 (同書 p63)

中身が「ペン先 ペン軸 鉛筆(すずのキャップつき) 消しゴム ナイフ」であるなら、これは一般的な筆箱と思えますし、主人公のトーシャはこの筆箱を家でも学校でも使っていますので、持ち歩きもしているわけです。(インク壺も登場しますが、筆箱には入っていません。)
それが、このお話の中でとりたてて変なこととして書かれていないわけですから、これがポーランドの子供の日常であると考えられます。

Photo_2 解説では、この話の初出は1931年だそうで、「ネンディをねんどでつくった女の子トーシャを中心に、小学校一年生の学校や家庭での生活が、じつにいきいきとえがかれて」いると書いてあります。
1931年(昭和6年)には、少なくともこういう筆箱がポーランドには普通にあったと思われますし、作者が作品に自分の子供時代を反映しているなら、作者は1894年(明治27年)生まれですから、明治末あたりまでさかのぼることもできるかもしれません。
(ただし、前書きでは、7つの女の子の話をきっかけにこの話が生まれたと書いてあります。)

さらに、先の記事の追記にリンクしたブログドイツおもしろ生活の う~のすけさんは、木製筆箱をドイツの蚤の市でけっこう見かけるとおっしゃってますので、欧米諸国の中でも、筆箱文化があった国となかった国があるのではないかと私は思っています。

学校と家の両方に文具を置く経済的余裕があったかなかったか、あるいはものを必要以上に持たないのが美徳であったかどうか、愛着のあるものを常に使い続ける気持ちが強かったかどうか、学校の机がどのくらい収納ができたか … その地域のいろいろな事情で、筆箱は必要なかったり、必需品だったり、一定の形を保ったり、多様に発達したりするものかもしれないですね。

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【この後も筆箱事情を調査し続けています】

→ カテゴリー シリーズ:筆箱事情調査 へ

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明治の舶来木製筆箱の図版 ~明治43年『伊東屋営業品目録』より~ その3

Kero556さんのブログの一つ、コーリン鉛筆カタログ化計画 ANNEXの記事倉敷意匠計画室さんのペンケースで紹介されていた木製筆箱「ならのペンケース」は、2段になっていて、上のふたをずらすと、ストッパーの部分がはずれ、一段目がくるんと回転して下の段のものが取り出せる素敵な仕掛けになっています。
(ペンケースの商品画像は、ショップ Minette の商品紹介ページへ)

これと良く似た形の筆箱が、先にあげました明治43年(1910年)の『伊東屋営業品目録』の中に紹介されています。(→『伊東屋営業品目録』について詳しくは、記事「伊東屋の営業精神 ~明治43年『伊東屋営業品目録』より~ その1」をごらんください。)

Photo

図の上の筆箱がそうで、上の蓋がストッパーの役目をしているところも、上の段に筆記用具用の溝を切ってあるところも、下の段が平らになっているのも似ていて、きっと同じ起源の筆箱なのだろうと思います。
下図の筆箱は一段のみで、その分安価です。
説明がないので、書いてある絵がエナメルのような彩色なのか、彫刻なのか、あるいは単色の彩色なのかはわかりません。
けれど、写真でなく精密に描かれた図版はとても素敵でうっとりしました。

この筆箱は子ども向けのもののようです。
以下、カタログの紹介文です。(旧漢字は新漢字に改め句読点を補い、現代語訳をつけました。)

Jpg 教育石盤ト筆入

教育石盤ハ玩具部ヨリ発売シツゝ、筆入ハ当文房具部ノ特別輸入品ニシテ共ニ児童贈答用品トシテモツテコイトイフモノ。
【教育用の石版は(伊東屋の)玩具部から発売しているもので、筆入れは当店の文房具部の特別輸入品であって、ともに児童用の贈答品としてもってこいな品物です。】

何故に適当デアルカトイヘバ、一ハ智育トナリ、一ハ実用として永久使用セラルゝヲ以テナリ。
【なぜ贈り物として適当であるかというと、一つ(石盤)は智を育てるものであり、一つ(筆箱)は永久に使われるものだからです。】

故ニ、斯ル場合ハ、何ヲオイテモ其ノ何レカ、或ハ二種トモ御用命肝要ナリ。
【なので、このような(贈り物の)場合は、何を置いてもそのどちらか、あるいは両方ともご注文くださるのが大事です。】

そんなこと言われましても^^;

さて、この筆箱は現在ならどの程度の値段なのでしょうか。
当時と今では物の価値が変わっている場合もありますが、例として鉛筆をあげて比べてみましょう。

この伊東屋のカタログには高級品の鉛筆しか出ていないので、別の資料を使いました。
『続・値段の 明治大正昭和 風俗史』(週刊朝日 編 朝日新聞社)は、いろいろな品物の値段の変遷を集めてある本ですが、その中の「鉛筆」の値段を見てみます。

Photo_2 一番近い時代は明治40年で、このときの鉛筆の値段は2厘です。(同書 P65掲載 資料提供:日本鉛筆工業協同組合、三菱鉛筆)

鉛筆の種類は、学童・一般事務用の普及品の標準小売価格だそうですから、今なら三菱の9800番かトンボの8900番、1本40円程度≒2厘と考えてみると、1銭は200円くらいになります。

となると、くだんの品々の値段は、

・教育石盤(38銭) … 7600円 annoy

・二段式筆箱(35銭) … 7000円 annoy

・1段筆箱(23銭) … 4600円 annoy

…これが、「趣味の文房具」じゃなくて、「学童用文房具」なんですよ~coldsweats01
しかも「何ヲオイテモ其ノ何レカ、或ハ二種トモ御用命肝要って言いきってるあたり…凄い。凄すぎる。
実際は、15銭~50銭のものがあるので、舶来筆箱の値段は3000円~1万円っ!
もちろん、当時の舶来ものは今とは比べ物にならない貴重品で高価なのでしょうが、これからこのカタログの商品の値段を見るたびに、ギャ~! と叫んでしまいそうです 笑

※値段の換算については、資料によって変わると思いますので、あくまで参考ということで。
もっといい換算方法をご存じの方がいらっしゃったらぜひ教えてください。

【追記】

この形の筆箱(ドイツ製)の画像が出ているブログを見つけたので紹介します。

ブログふいんすの記事 筆箱(Pencil case)

ドイツの老舗文具メーカー「RYLA(リラ)」の製品だそうです。(現カタログにはないらしい)
溝の切り方は「舶来製筆箱」と多少違いますが、蓋をずらすと上の段が回転する仕組みは同じ。
12年前にドイツに行かれたご友人からのお土産だそうです。
100年くらい使えるんじゃないかと書かれているくらい丈夫そう^^(だったら高価でも元はとれるのかも)

ブログドイツおもしろ生活の記事 古い筆箱 ☆スライドするんです☆

蚤の市で買われた、同じく回転式で、蓋にcmとインチの目盛りがついているタイプの筆箱の画像が掲載されています。
ドイツではインチは使わないので、イギリス向きに作られたの製品かも、という推測をされています。
そちらの蚤の市ではよく見かけるけれど、「アールヌーボー調の絵が描いてあったりすると一気に値段も上がる」そうで…
ということは、伊東屋の図版のタイプは「絵が描いてある」ものではないかしら。

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【続きの記事】

 「『文房具の歴史』(野沢松男)の筆箱考察 ~続・明治の舶来木製筆箱の図版~」 へ

→ カテゴリー シリーズ:筆箱事情調査 へ

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伊東屋の一足早い「猫の日」 ~猫文具いろいろ~

先日、伊東屋に寄った折、見てきたのは地下だけだったのですが、ファンシーもののコーナーに猫グッズがいろいろありました。
自分が猫好きというのもありますが、2月14日のバレンタインものより先に、2月22日の猫の日コーナーも簡単に作れそうな品揃え。
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まず、ダイカット(型抜き)タイプの猫ふせん(ポストイット)。
台紙に貼ってある4種類のお菓子になっている猫は、サンエックスの猫キャラクター「にゃんにゃんにゃんこ」のにゃんこカフェの発想と同じようですが、もう少し猫がリアル。
猫の形がかわいいです。
Choochoo line sticky(tea set) 韓国製 輸入元 ㈱ジェンナー 1470円
このほかに、白雪姫や赤頭巾などの童話コスプレ猫シリーズと、もう1種類ありました。
他にもあったと思います。
(このシリーズは、韓国のデザイン文具・雑貨ショップ Sopumaul でたくさん販売されています。)

右側の個包装タイプ2種は、「ダイカットスティックメモ 貼ってはがせるメモ80枚入り」
前から見かけた気がしますが、上のが「チャトラ」、下のが「ネコ」(…)です。(他にもありました)
Greeting Life Inc. 税込525円
(HPに、会社で飼っている猫の写真入りブログここんとこのニャーも併設)

右上の猫の立体は、「フィギュアマグネット みけねこ」(中国製)税込788円。メーカー不明。
これは、中心に強力なネオジム磁石がついていて、メモなどをはさんで立てることができます。(これも以前から見かけていますが、猫ものが並んでいたので、つい)
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こんなふうにすれば、「壁抜け男」ならぬ「壁抜け猫」を作るのも簡単♪

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でも、ばらばらにして置いておくと、かなり猟奇 ^^;
磁石が強力なので、すぐにくっつきますけれど。(他に、あめしょ、ちゃとら、くろねこがあります。犬は くろいぬ ちゃいぬ があるようです。)

地下2階にはこのほかも、エコバッグなどの布製品の猫柄のものも目につきました。

地下1階スタンプコーナーには、「不思議の国のアリス」のスタンプセットが。
06 缶に、紙のシールが貼ってある容器で、中には大小5個のアリスのスタンプが入っています。
(ジョン・テニエルの挿絵をスタンプにしたものです。)

当然、猫好きとしては、チェシャ猫は外せません^^
それと、懐中時計の白ウサギもほしかったので、2セット買うことになりました。
02_2

買ったのは、3集と4集です。(1~4集があり)
チェシャ猫は3集に入っています。

他に、新しい音楽柄鉛筆や、何度も品切れだった、ミドリのD-クリップスのペンギン柄もようやく入荷していて、手に入ってうれしかったです。

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伊東屋の営業精神 ~明治43年『伊東屋営業品目録』より~ その2

今回は、前記事伊東屋の営業精神 ~明治43年『伊東屋営業品目録』より~ その1の後編です。

同じく、出典は1910年(明治43年)の『伊東屋営業品目録』で、前回の続きからです。
太字は原文、【  】内は現代語にしてみました。
・旧漢字は新漢字に改めました
・補った表記はカタカナにしてあります(例:奉存候 →存ジ奉リ候)(不 → ~ズ)
・句読点を補いました

伊東屋は時代の要求に従ひ、常に改良文房具の考案作成に苦心仕り居り、又、絶へず欧米諸国に於ける流行の粋を撰び、賞翫と実用とに適せるものを逸早く直輸入取揃へ居り申シ候。
【伊東屋は時代の要求に従い、常に改良された文房具の考案や作成にに苦心いたしており、また、たえず欧米諸国における流行の最高水準のものをえらび皆様に愛でられ実用に適したものをいちはやく直輸入し取り揃えております。】

及び、洋式帳簿は、紙質の善良、装丁の堅牢を期し、又、カードの立案及び容器の設計は、御満足に御用便致ス可ク候。
【及び、洋式帳簿は、紙質の良く、装丁の丈夫なものを期し、又、カードの立案およびカード容器の設計は、皆様がご満足にお使いになれるようにいたします。】

又、一般の活版石版印刷等を取扱ひ居リ候。
【又、一般の活版や石版の印刷等を取り扱っております。】

猶、地方顧客各位の為め、特に地方係を設け之有リ、各位の厚き御愛顧に依り、日に増し繁盛に相趣き候段、有リ難キ仕合セト奉リ候。
【なお、地方の顧客のため、特に地方係を設けてあり、皆様の厚いご愛顧により、日ごとに注文が増し繁盛にむかっておりますことは、ありがたき幸せと思っております。】

今後に於ける当伊東屋の営業振りは、慥に小売販売の範を示すべきものと自信仕り、励精以て御厚情に酬ひたてまつるべく候間、倍旧の御引立のほど願ヒ上ゲ奉リ候。 敬白
【今後における当店伊東屋の営業ぶりは、たしかに小売販売の模範を示すべきものと自信を持っており、業務に励み努力することによってみなさまのご厚情にお応えしておりますので、従来にも増して一層お引き立てくださいますようお願い申し上げます。敬白】

伊東屋

まだまだ洋式文具そのものが不足していた時代、伊東屋はその開拓者として、自ら時代に合ったオリジナル文具を考案し、あるいは、こういうものを作ってほしいという要望にこたえて製作をしていたのですね。
Photo_2 カード情報整理が既に行われようとしていたのも驚きです。
舶来ものも、美しく鑑賞に値するだけではなく、実用的な機能も持ったものを選ぶ。
そして、地方に住み、伊東屋に来店できない人のための通販に力を入れています。
(このあと、この時代の郵便制度を取り上げるつもりなのですが、明治43年には、今、私たちが利用している郵便関係のシステムは、すでにほとんど整備されているのです。驚くべき速さです。)

もちろん、伊東屋が扱っているものは、高価な洋式文房具です。
一般庶民が、伊東屋のカタログを手に文具を注文できたわけではなく、利用できたのは一部の名士や富裕層であったことでしょう。
それでも、この文面からは、お客を選別する気持ちが感じられないのです。

「新式文房具は、必ずあなたの仕事を能率を上げて利益を与えるものなのです。」
「一刻も早く、この新しいシステムを取り入れて、その効果を確かめていただきたい。」
「新しい時代を生きるあなたには、この新式文房具こそがふさわしい。」
それを選ぶお客の精神が革新的であるかないか、それだけを問うているように思えます。

伊東屋は自らを「小売販売の範を示すべきもの」と自信を持って言い切っています。
この時代の他の目録類を見たことがないのでわかりませんが、時代の勢いもあるとは言え、ほれぼれするような巻頭言だと思います。

※ この本については、これから気の向いた時に取り上げていきます。

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【関連記事】

→ 「明治の舶来木製筆箱の図版 ~明治43年『伊東屋営業品目録』より~ その3」 へ

→ 「 『文房具の歴史』(野沢松男)の筆箱考察 ~続・明治の舶来木製筆箱の図版~」 へ

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伊東屋の営業精神 ~明治43年『伊東屋営業品目録』より~ その1

文具店の老舗、銀座伊東屋の創業は、1904年(明治37年)です。(出典:ザ ステーショナリー―銀座・伊東屋100年物語 P.68)
1947年(明治40年)には、『伊東屋営業品目録』というカタログをすでに発行しています。

その改訂版、1910年(明治43年)の『伊東屋営業品目録』を入手しました。
01 02
カタログは「非売品」とあるので有料ではなかったようです。
最後の切り取られたページは注文用紙でしょうか。
このカタログを見て注文をされた方のものらしく、表紙裏には何をいくつ注文するという書き込みがあります。
表紙の文字と絵はモスグリーンのインク、営業精神などは青インク、商品説明は黒インクと、印刷業も営んでいた伊東屋の印刷見本にもなっているのでしょうか。
つやつやの紙に印刷された店舗の写真ページもあります。

この目録からは、当時の伊東屋のことだけでなく、その時代の空気を感じさせるものがたくさんあり、資料としても大変おもしろいものです。
精密に描かれたいろいろな文具の図版は素晴らしく、よく文房具の本にも紹介されています。

今回取り上げるのは、序文の「伊東屋営業精神」です。
候文で書かれた文章は現代語訳にはない力強さがあります。
太字は原文、【  】内は現代語にしてみました。
・旧漢字は新漢字に改めました
・補った表記はカタカナにしてあります(例:奉存候 →存ジ奉リ候)(不 → ~ズ)
・句読点を補いました

伊東屋営業精神

謹啓

益々御清栄、大慶ニ存ジ奉リ候。
【(皆様の)ますますの御清栄を 大変めでたいことと思っております。】

事務の整頓は、新式なる帳簿組織と進歩せる文房具の活用によって、始めて敏活なるを得べし。
【事務を整頓することは、新式の帳簿組織と進歩した文房具を活用することによって、初めてすばやく行えるようになるのです。】

文明の書斎と事務室には、文明の文房具を要すること、敢えて申し上ぐるまでも之無き義と存じ奉り候。
文明の時代の書斎と事務室には、文明の文房具を必要とすることは、あえて申し上げるまでもありません。】

然しながら、習慣の力は、往々この新式用具の使途を鈍らしめ、改善に躊躇致さす場合も之有リ候は、遺憾に堪ヘズ候。
【しかしながら、今までの習慣で、往々にしてこの新式用具を使うことが遅れ、改善することに躊躇する場合もあることは、とても残念に思います。】

将来、事務倍々多端を極め、各種の新経営を促す時代に於いては、到底旧来の大福帳的巻紙的のものにては、如何に敏活なる事務家とても能く完全を期すること不可能の義と存ジ奉リ候。
【将来、事務がこの上なくどんどん増えていき、いろいろな新しい経営の仕方を促す時代においては、到底、今までの大福帳や巻紙のような文房具を使っていたのでは、どんなに優秀な事務家でも完全な仕事ができると期待はできないと思います。】

されば、一刻も早く茲に意を注がれ、漸次改善の途につかれ候はば、始めて旧来の迂なりしを悟り、改善後の如何に利益の多大なるかを讃せらるる事と相成ルト申ス可ク候。
【なので、一刻も早くこの点にお心がけになり、少しずつ改善されていけば、初めて、旧来の方法がどんなに非能率的であったかを悟り、改善後の利益がいかに多大であるかと称賛されることになると申し上げることができます。】

改善の一日早きは、一日多くの利便を得る儀に他ならず候。
【改善を一日早くすることは、一日多くの利便を得ることに他なりません。】

(後半に続く)

この文章から感じられるのは、少し前のOA革命、コンピュータシステムの導入の時のような勢いです。
文明開化の時代、これから飛躍的に増えていく事務を、いかに能率的に処理していくか。そのためには、新式の文具により事務を改善していくことがどうしても必要なのだという熱い語り。
文房具がまず事務用品として重大な意味を持っているのがわかります。

次回は序文の後半です。

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《この部分に言及しているサイト》

店主敬白~銀座伊東屋 … 同じく明治43年の目録の文章をとりあげています。

伊東屋 文具物語 … 明治40年、43年の目録の文章をとりあげています。

【このシリーズの続きは】

→ 「伊東屋の営業精神 ~明治43年『伊東屋営業品目録』より~ その2
   巻頭言の後半を扱っています。

→ 「明治の舶来木製筆箱の図版 ~明治43年『伊東屋営業品目録』より~ その3
   この目録にのっていた木製筆箱と現代の筆箱の相似点を書いています。

→ 「『文房具の歴史』(野沢松男)の筆箱考察 ~続・明治の舶来木製筆箱の図版~
   筆箱が日本起源のものかという野沢氏の考察に、児童文学の内容をあげ、外国にも筆箱があったのではという異論を書いてみました。

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ステーショナリー タニィの秘密8 小さな店にできること

ステーショナリー タニィの秘密7 面倒見の良い店長さん の続きです)

先ごろ、銀座伊東屋本店の売り場や取り扱い商品が大きく変わりました。
それまで扱っていた商品のうち、帆船模型用品、清書用料紙、レタリング用品、エアブラシ用品、コミック用品、カッティングシート、アクリル板などの取り扱いがなくなりました。(詳しくは、銀座伊東屋HP「取り扱い終了商品のお知らせ」参照)

少し前まで、伊東屋のイメージは「文具のデパート」「置いていないものはない」でした。
実際、伊東屋の本を見ても、2004年発行のザ・ステーショナリー 銀座伊東屋百年物語』(ピエブックス) には、以下のような記述があります。

■その他の画材
銀座界隈から画材店が姿を消しても、伊東屋では長年販売してきた商品の取り扱いをやめることはほとんどありませんでした。発売当初は年末に1日100台以上販売した「プリントごっこ」も、今でも消耗品を揃えているところはあまりないでしょう。エアブラシの修理ももちろん承っています。今でも「ガリ版の原紙はないですか」というお客様がお見えになります。こちらも、販売いたしております。(同書 P53)

■求める人がいる限り
ボールペンのリフィールもそうですが、謄写版用の原紙もまだ扱っています。さすがに、謄写版本体はもうありませんが、お使いになっている方はまだいらっしゃるので。じつは、原紙を作っていたメーカーはなくなってしまって一時期絶版になっていたのですが、あまりにも問い合わせが多いので、商品開発の担当者が作れるところを探して、やっと作ってもらいました。ですので、伊東屋以外に販売しているところはないと思いますね。(同書 P107)

ここでは、売れ筋商品ではないものもむしろ積極的にそろえようとする伊東屋の姿勢が感じられ、またそこに誇りを感じている店員さんたちの姿がうかがえます。

しかし、それが変質したと私が感じたのは昨年の秋です。
時間があったので、久々に伊東屋の各フロアーをゆっくり見ていた時のこと。
あるフロアーで、お客さんが店員さんに「○○はありませんか?」と尋ねていた時、
「うちでは扱っていませんねえ」とだけ答えているのを聞いたのです。
それも、そのフロアーにいた、さほど長くない時間に、3度も。

確かに、お客さんたちが尋ねていたものは、どれもあまり売っていなさそうなものでした。
でも、私と同様、お客さんたちは「どこにも置いていないけど、文具のデパート伊東屋にならきっとあるのでは」という大きな期待を抱いてわざわざ出向いてきたのだと思います。
中には遠方の人もいたかもしれません。
そんな問いが立て続けに来たのも「伊東屋ならでは」とも言えると思います。
なのに、それを「扱っていません」だけで、扱っていそうなところを教えるでも代替品を紹介するでもこういう訳で扱えなくなったと説明するでもないのは、なんとすげない扱いであることか、と思いました。

でも、その後の伊東屋の商品取り扱いの変化を見ると、老舗の伊東屋でさえ、もはや文具の「デパート」としてでは経営していけないのではないかと感じました。
たくさんの品を並べた中からお客が選択するのではなく、お店が選んだ売れ筋やアンテナにひっかかりそうな商品、あるいは単価の高い高級品を並べたセレクトショップへと変身していかなくては、もはややっていけないのでは、と。
他の大きな文具専門店も、同じような事情を抱えているのではないでしょうか。

一方、価格で優位の量販店は、扱い商品が限られ、探すための知識がお客に要求されます。

ある量販店の文具コーナーで、お母さんがお子さんに話しかけながら文具を探していました。
「ドライヤーで温めると消えるボールペンがあるって」とボールペンのコーナーを見ていました。(確か、「テレビでやっていた」と言っていたと思います。)
ああ、これはフリクションボールだな、と思って、私もそこで黙って一緒に探してみたのですが、これがどこにあるのだか容易にわからない。
袋に入って下がっているボールペンはいっぱいあり、特に目立った表示がついておらず、フリクションボールのメーカーや特徴を知っている私でもなかなか見つからないのです。
結局、そこにはフリクションボールは置いていなかったのですが、その方は、商品名を覚えていなかったため、そこにあったのかなかったのかもたぶんわからないままその場を去っていきました。
店員さんがなかなか現れないのもまた量販店の特徴ですし、入荷もしていない「ドライヤーで消えるボールペン」そのものを知らないかもしれません。(本来、フリクションボールは「消せるボールペン」ですしね)

安価なことでは100円ショップも見逃せませんし、100円ショップ用の品だけでなくメーカー品もかなり見受けられますが、無理にコスト100円に抑えているために品質に問題のあるもの、100円ではそもそも作れないため店にないものも多くあります。

ネットショップは、指名買いするのには便利ですが、メーカー名や商品名がわからないものを探すのには苦労しますし、「こういう用途に使えるものが何かないか」といった曖昧な探し物には向きません。
まとめないと送料が発生するのも問題点です。

小さな文具店がそういうライバル店の中で生き残っていくためには、それらの店にはない(できない)特長を打ち出していく必要があるでしょう。

ステーショナリー タニィから感じたことは次のようなことです。

1 得意分野を充実させ、自分の店でできない部分は他店と連携する、すぐ取り寄せるなどの手段を持つ

2 その土地のお客さんに求められているものを売れ行きだけでなく会話や質問からつかんで対応する。

3 お客さんの手助けをするという姿勢で接する(説明書きなども)

4 商品知識、経験、アイディアで柔軟に対応し、そのための情報収集を常に行う

5 目先の損得でなく、長い目で見て愛される店になればいいとする

6 変化する楽しさと、変化しない基本の両方を持っている

7 「普通」の部分に詳しく、「普通」を大事にしている

8 自分が文具を愛している

豊富な品揃えができない分、専門性や人柄で、大手のできないところを細やかに埋めていく、そこに小さな店が生き残っていく道があるように思います。
「この店がなくては私たちが困る」と思える店になるのは簡単ではないと思いますが、ステーショナリー タニィはすでにそういう店の一つになっているように思いました。
素敵な店長さんと「専務」さんの「人の力」によって。

次回は、番外編「ウルトラな町」をお送りする予定です。
(というか、訪問から季節が変わってしまって本当にすみません 泣)

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→ ウルトラな街 祖師谷 ~ステーショナリー タニィのあるまち~ へ

→ 番外編 ステーショナリー タニィの「ノンボテ」記事 へ

 関連記事を カテゴリー シリーズ:ステーショナリー タニィ にまとめました。 

    

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銀座伊東屋のメルシー券廃止

ネットで調べ物をしていたら、銀座伊東屋のHPに、メルシーカードのご案内という見慣れないものがあり、そのページを開いてみたら、「メルシー券発行終了のお知らせ」が出ていました。
2009年1月31日をもって終了だそうです。

初めて伊東屋に行ったとき、こんな金券がもらえるとは知らなくて驚きました。
100円、50円、10円の券を混ぜてお釣りと一緒にさっと出してくれて、こちらがメルシー券を混ぜて支払っても、その会計が滞ることもなく鮮やかなものでした。
割引のない伊東屋での、それがサービスでした。

大きなものを先に買って、後からメルシー券で小物を買うようにしたのは、ハンディコピー機の「写楽」を母が買ったあたりからだったでしょうか。
それでも、現金で払った分はまたメルシー券が戻ってきて、最後に何枚か残ってしまうのです。
期限切れのないメルシー券は、次に行った時のためにと保存し、たまになくし、今は東京の店舗のポイントカードの入ったケースに一緒にしまわれています。

そうですか、なくなってしまうんですね。
「ひがみちゃんJam」というマンガの中に、主人公が財布か何かをなくして「○○も、○○も、伊東屋のメルシー券も みんな ない!」なんて台詞があって、おお~、この人も伊東屋で文具を買っているんだ、とうれしかったこともあります。
(そこしか覚えていないのもどうかと思いますが^^; 違っていたらすみません)
きっと、いつかメルシー券で大物を買おうと、使わずに貯めている人もいるんじゃないかと思います。
小さいけれど、もらうと幸せでした、メルシー券。

メルシーカードのポイントは、当初は5%ですが、来年2月からは3%になり、有効期限は24か月だそうです。

なお、メルシー券の使用期限は、2010年1月31日までです。

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「ノンボテ」ボールペンを調べてみたら…その8 ケルボの子孫

(「『ノンボテ』ボールペンを調べてみたら… その7 ケルボの行方」 の続きです)

ケルボは、ネットで断片的に名前が出てくるので、情報を拾ってまとめてみることにしました。

まず、ザットユーロビートさんのブログ「昭和の雑誌広告・懐かしモノ」に、貴重な「ケルボ発売」の広告の画像が出ていました。
雑誌「明星」の1980年のもので、「米国製」「ペーパーメイト」「消せるボールペン ケルボ」とあります。
商品は台紙つきのパッケージで売られており、台紙にケルボの名称や説明があり、本体画像には軸に文字が写っていないので、本体はイレイサーメイトそのものの可能性が高いです。

ゴローも、消した。
ふつうの消しゴムで消せる唯一のボールペン、ケルボ

間違いだらけのラブレターなんて……。ケルボを知らなかったのね。ケルボなら、書くときはふつうのボールペンだけど、HBの鉛筆で書いたものと同じくらいカンタンに消せるの。試験でも、レポートでも、もちろんラブレターだって、もう間違いはふつうの消しゴムでOKよ。
ケルボは、アメリカの一流ブランド、ペーパー メイトが開発した、革命的なボールペン。特殊なインクを使っているので、間違えても消せるのです。ただし、一定の期間がすぎれば、インクは定着して消せなくなります。全国のデパート、有名文房具店等でお求めください。ペーパー メイト パワーポイント ボールペン シリーズも同時新発売。ケルボとは違うふつうのインクのボールペンで、360°上向きでもなめらかに書ける、独特の機構を持つ高品質の製品です。

価格 500円 / 軸色 黒 青 赤 / 替芯 350円 / 米国製

違う加圧式ボールペンがまた出ていますが、それは今回はおいておくことにします(汗)。

また、Yumiko Yamaguchi さんの 「日々の雑貨」 2002/04/19消せるボールペンの記事の中には、「Erasermax」「Eraser Mate」についての興味深い記述があります。
(D-ink は2001年に発売されたパイロットの「消せるゲルインキボールペンです。)

(前略 D-inkと)もう1種、愛用しているのが、PAPERMATEの「Erasermax」。「D-ink」のような色とりどりの華やかさはなくて、黒のボディでキャップの先に専用消しゴムがついています。一般の消しゴムでも消せます。専用の方がよく消えるような気がしますが。ただし消せるのは書いてすぐ、24時間立つと定着するそうです(実際には1日経っても消せました)。書き心地はこちらのほうがワタシは好き。インクが出過ぎず、長もちします。最初に買った時は黒1色しかなく、しばらくして、赤も売っていることに気付き、ついこのあいだ別の店で青も見つけました。こっちの赤はインクの色もマット系です。「D-ink」の赤は金赤(ブライト系)。ところで、もう1種類、2、3年前に、買ったのかもらったのか、抽き出しから出てきた消しゴム付きのボールペン、ほんとに消せるのにいまごろ気が付いた!のです。「うそやろ」と思って試していなかったのです。ジョークで消しゴムがついていると思ってた。だとするとずいぶん前に「消せるボールペン」があったということになりますよね。このボールペン、「Eraser Mate」って書いてあります。インクは「Erasermax」タイプで、消しゴムがそっくり、前身かもしれません。 (後略)

ここから、ペーパーメイトの消しゴムで消せるボールペンの変遷がわかります。
(この方はケルボをご存じなかったようで、20世紀には消せるボールペンがなかったとおっしゃっていますが、実はあったわけです。)
つまり、イレーサーメイト(日本名ケルボ)  イレーサードットマックス となるわけで、イレーサードットマックスは、ケルボの子孫、ということになります。

それが、日本でどう流通していたかは、掲示板のログからうかがい知ることができました。(過去ログのためうまくリンクが貼れません。元の全文は検索で探してください。)

「PILOTの「消しゴムで消せる」“D-ink”ってどうよ? 」(2001年~の過去ログ) より

27 名前: おかいものさん 投稿日: 01/10/17 22:47
消せるボールペンだったら
ソニプラに売ってある製品が優秀

29 名前: おかいものさん 投稿日: 01/10/18 02:11
>>27
もしよかったら商品名教えてください。
消せるボールペンってすごく便利なんだけど
買ったら色が薄くて失敗でした。
昔買った指で消せる蛍光ペンはあたりだったけど。

30 名前: 27 投稿日: 01/10/18 09:34
>>29
eraser.max MED って印字されています。
また別の箇所にPAPER♥MATEと印字してあります。
色は、赤・青・黒がありましたよ。

42 名前: 投稿日: 01/11/23 12:59
30>サンフォードジャパンから出ている定価200円の物です
D-inkより50円高いけどこちらのほうがいいみたい

44 名前: ななしさん 投稿日: 01/11/30 02:05
20年前に、消しゴムで消せるボールペン使ったこと有るよ。
普通のボールペンより、べとっとした感じのインクでしたが、全然流行らないまま
消えてました。

47 名前: おかいものさん 投稿日: 02/01/08 00:27
ソニプラのerasermax買ってみました。
D-inkとちがって
本物のボールペンみたい。
しかもちゃんと消える。感動しました。
ただ消しゴムがついていないと消せるペンって
だれも気付かないんじゃ?

8 名前: ななし 投稿日: 02/02/19 04:42
20年前の「ケルボ」と比べてどうですか?

2 名前: おかいものさん 投稿日: 02/04/12 21:50
>>58
ケルボ!そういやそんな名前だった…

2001~02年当時は、イレーサードットマックス輸入文房具として、ソニープラザなどのごく限られた場でのみ売られていて、「消しゴムで消せ時間がたつと定着する」という性質はそのままながら、使った人から高く評価される性能になっていることがうかがえます。

サンフォードジャパンは、ペーパーメイトを含む複数の海外文房具会社のグループのようで、ペーパーメイトの製品がここの製品として扱われていることもあるようです。(→詳しくは サンフォードジャパンのHP へ。会社組織は全然わからないのですみません。)

また、「ケルボゼブラの製品」という情報もネットではいくつか見つかりました。
しかし、別の本『文房具の研究 心ときめく世界の文房具』(中央公論社 別冊暮しの設計6 1981年)のケルボの紹介文でも、

ケルボ。消しゴムできえる三菱ボールペン。500円(伊東屋)

とあるので、複数の本がそうそう会社名を間違えることもないと思われ、三菱が扱ったものと考えてよいと思います。

また、『アメリカ文具図鑑』(梅沢庄亮 立風書房マンボウブックス 1982年)には、ケルボⅡが紹介されています。

ケルボⅡ(KB1200)
ふつうの消しゴムでも簡単に消せる特殊ボールペンのひとつ。ボディのプラスチック部を片手でもち、もう一方の手で金属部を右にひねると、ペン先と消しゴムが同時に出てくるのがおもしろい。
とかく書き換えが多い電話番号簿や住所録に、これを使うと、ひじょうに役立つ。ただし、時間の経過とともに描線が定着し、消えにくくなるのも確かである。また、容易に消せるため、公文書等には使うことができないから要注意。太さは、ミディアム・ポイント(1ミリ)、インクは黒。替え芯内部でインクに圧力がかかっているので、ペン先をどんな角度に向けても書けるのも特徴のひとつである(ペーパーメイト)。

ケルボのインクは24時間で定着が売りなのに、住所録にすすめるのはどうかと思ったりしますが、ここにもペーパーメイトの名前がありますので、ケルボⅡも国産ではなさそうだと見当がつきます。

今回の情報を加えて、前回の表を修正すると以下のようになります。

修正版 ペーパーメイト開発の消せるボールペン】

1979年 ペーパーメイト 「イレーサーメイト」を発表

1980年 日本で「ケルボ」の愛称で「イレーサーメイト」が販売される。
     (ペーパーメイト製品として、三菱鉛筆?が販売)

1982年までに  「ケルボⅡ」 日本で販売。(※追記参照)

1985年頃まで 「ケルボ」「ケルボⅡ」並行で日本の文具店で売られる。

1986年 「ケルボ(イレーサーメイト)」一般文具店から姿を消す

2000年頃まで? ペーパーメイトの「イレーサーメイト」
                       輸入品店などで細々と売られ、その間に改良が進む。

2001年までに ペーパーメイトの「イレーサードットマックス」発売される

今後もまだ訂正、補足が出てくるとは思いますが、「ペーパーメイトは日本での評判にかかわらず、ずっと、消しゴムで消えるボールペンを作り、改良を重ねていた」ということがわかりました。

しかし、日本では「ケルボ」として売られなくなってから、しばらく「消しゴムで消せるボールペン」は一般文具店では見ることができず、限られた人が輸入品店などで見つけて愛用する品となったのです。

 
このため、2001年の「消せるゲルインキボールペン」D-ink が出たときには、ケルボのことを知らない人も多く、「消せるボールペン」はブームになり、また、問題もおこしたのでした。 (続く)

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→ 「ノンボテ」ボールペンを調べてみたら…その9 かつ消え、かつ結びて へ

※追記

広告資料が見つかったため、年表中の「1982年までに  「ケルボⅡ」 日本で販売。」は、「1981年までに」となることがわかりました。

詳しくは、
→ 「ノンボテ」ボールペンを調べてみたら…その11 ケルボⅡの広告より へ

 関連記事は、 カテゴリー シリーズ:ノンボテ&ケルボ へ

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