暮れに用事があって離れた市へ出かけました。
以前は、通院などで出向いたついでに買い物をしていたのですが、このところ通院もなくなり、忙しくて、出かけても用事だけ済ませて帰ることが続きました。
今回は時間に余裕があったので、久々にお気に入りの文具店に寄って行こうと思いました。
ところが、シャッターが下りています。
定休日ではないはずだし、年末休みにしては少し早すぎる気がしました。
年が明けてからまたそちらに用があって通りかかったのですが、相変わらず店は閉まったままです。
解せないのは、シャッターが閉まっていても、通常の商店なら、正月のお飾りや「謹賀新年」の紙があるものなのに、それさえないのです。
不審に思って帰ってからネットで調べてみたら、そのお店は、なんと昨年の1月に閉店していました。
正確には、まだ文具店ではあるのですが、注文を受けて配達するような形態に変わって、場所も移転したそうです。
ということは、あのこだわりの品揃え、商品説明はもうなくなってしまったんですね(T T)
* * * * * *
私が初めてこのお店に行ったのは、2003年の7月だったようです。
当時、参加していた掲示板に、次のような書き込みをしていました。
(少々生意気だったり意味不明だったりしますが、若気の至りで? お許しを)
水色の文字は補足です。
小さな文具店♪ 投稿日:2003年7月28日
(病院の帰りの)お昼のあと、通り道に小さな文具店があったので入ってみました。
そこは、たぶん用のある人が来るようなところ。(事務用品などが多そうな印象ということです)
でも、手前にあったお天気シールがかわいかったので、
取ろうと思ったらリングにはまっている(^^;) (取り外せなかったということ)
そんなだもんで、一番上は日焼けしてるし(おいおい)、
でも、1周見せてくださいね~と店内を回遊したら、
ご店主がついてくる。
私としては好き勝手に見せてほしいのだけど、
まさか来るなとも言えないものねえ。
で、お気に入りのゼムクリップ(白、水色、薄紫、ピンク、のPLUS製品)や、同色のダブルクリップ、
マグネット画鋲で、透明なビー玉みたいなアクリル玉のものなどを取ったら、
ご店主は、これは不要不急の客だと気づいたらしい(^^;)
でもって、新製品の解説などを熱心にしてくれてね、
東海のウォータークリアペン
これは、プラスチックなどに書けるのはさながら油性マジック、
ホワイトボードなんかにも書けるけど、普通にこすっても消えない。
でも、水で濡らすとたちまち溶けて、しかもふいた布にインクがほとんどつかない。
実演しつつ、乾いても色が出ませんでした~と実験結果まで教えてくれる。
パイロットのボールペン、ILLUSION
これは、黒い字が書けるんだけど、
キャップの頭のラバーでこすると、カラーの字に変身!
(軸の色に変わる。紫の軸なら 黒→紫)
ラバーでなくても、熱を加えれば色が変わるのだ~
あぶり出しみたいに使えそうですねえ(^-^)
新製品が出ても、説明するのはせいぜい1週間、
あとはお客さんが知ってて買いに来るという感じだそう。
入荷して二日くらいで、指名買いの人が来ることもあるそうな。
そうなると商品名のほうがわからなくて、
機能を聞いて、あれか、とわかったりするそうです。
熱心さにほだされて、
いろいろお買い上げしてきました。
店主、暇だったんでしょうけど(おい)、
文具好きで、いろいろ考えて仕入れして、
誰かに愛を語りたかったんでしょうねえ。
うるさく思って悪かったです。
会計終わって、ディスプレイとして置いてあった、
松ぼっくりに小さい布の玉をいっぱいはめこんだ飾りを見つけました。
よく、ビーズなどはりつけてクリスマスツリーの飾りを作りますが、
小さな布に一つ一つ綿を詰めて、下を結んで玉にしてあるの。
細かくてきれい~と賞賛したら、
…くださいました(^^;) 奥様が。
奥様の手作りだそうです。
サービス券もいっぱいもらっちゃったので、
また行こう~
1週間後にとりあえず(検査結果を聞きに行くから)
投稿日:2003年7月28日
来週そのまちに行くので。
裏を返さなくては~(^-^)(…吉原かい)
次回は、
何かおもしろいもの入ってる?のノリ? いいのか?
しかし、わらぶきではなく普通の商店街の小さな文具店ですよ。
ファンシー系や、駄菓子屋ひきずってるような古いとこなら、
たぶんとっくに入っていますが、
いかにも事務用品ですって表向きなんで、
何度も通っている道なんですが、
一度もおうかがいしたことがなかった。
しかし、外見で店を判断してはいけませんねえ。
その後、掲示板のメンバーの中に、廃番になってしまったフォトアルバムを探している人がいて、その問い合わせをこのお店にしてみました。
(以下、一部、当時の江戸ノリでお送りいたします。)
手配終了 投稿日:2003年8月4日
○○○のだんな(←アルバムを探している人)
いの字(そのお店のこと)に、人相書きと手配書を置いてきましたぜ♪
(アルバムの画像と商品仕様の説明のこと)
その場でお仲間に聞いてくれやしてね、
返事は2~3日待ってくれってことでしたがねえ、
いや、大店のコの字(メーカー)とは大違いだねえ。
出てくるかはわかんねえが、
面倒がりもしねえで、
どこかの店にあればそれが売れればそこの儲けだ、ってんで、
たいそう良くしてくれてねえ。
あきんどってのは、ああじゃなくちゃいけねえや(^^)
あるじは、この商売も品物も好きでねえ、
お江戸の見本市にまで新しいものを見に行くそうだよ。
で、こっちに言った台詞が、
「それからこっちにおもしろいものが」
なんだよ。泣かせるねえ。
ちっと遠いのが難儀だが、
また寄らしてもらいたいねえ。
投稿日:2003年8月4日
(店主の行き先の見本市がISOTか、問屋の単独見本市かと聞かれたので)
お江戸のどことまでは聞かなかったんでわからねえ。
でも、こちとらをつかめぇて、
「お江戸に行きなさるんで?」
と聞いてきやがってねえ(^^)
おおよ、浅草橋界隈よ、なんてんで、
話がぽんぽんぽーんと通じるんで、楽しかったねえ。
カエルの小さな印セットがあったんだが、
どう見ても9本組なのに8本しかありやがらねえ。
こりゃ面妖な、と思ったら、
1本だけどうしてもほしいっていう客人がいてな、
もう在庫だからいいやってんで1本だけ売ったんだと。
おもしろい店だよ。
残り? そりゃこちとらが買ってきたのよo(^^)o
おもしろかったのは、メリケンの マグライトというもんで、
まあ、ペンライトのような小型懐中電灯だが、
明るさの調整がなめらかで明るくてねえ。
夜道にも使えそうだねえ♪
投稿日:2003年8月4日
いえねえ、
手配書を見せて説明するそばから、
店主の奥さんがどこへやら電話をして、
どんどん状況説明をしていったのよねえ。
お店やメーカーによっては、
「廃番です」で済まされちゃうことも多々あると言ってました。
でもね、
どこかにあるならほしいんです、というのが、
これだけストレートに伝わるとは私も思わなかったの。
ご夫婦で文具が好きでやってるお店なんだろうなあ。
きっと、以前にも、
探してくれというお客がいたにちがいない。
きっと仲人でもするような気持ちで探してくれてるんだろうなあ。
でも、驚いたのは、
どうも関東とかの地区ごとにネットワークのようなものがあるらしいことです。
問屋レベルで、各店舗ではないと思うのですが、
それが在庫を聞くと、
作動して在庫の有無を調べられるようです。
自分の町でもそれができるか、
今度何かでやってみよう♪
文具業界でも、在庫管理をネットワークでやっているのかも。
でも、ネットワークが完備していても、
使う手間を惜しむか惜しまないかは人ですからねえ。
「おもしろいものが」は、
言ったあと、あ! と、失言~という顔をご店主がしてました。
(^▽^) ハッハッハ
おもしろいもの、好きですよん♪
結局、この時は、そのアルバムの在庫は見つからなくて、それでもかわりにこういうタイプはどうかというかわりの商品紹介をきちんとしてくださいました。
以前、このブログで、サクラピグマックスツインを取り上げたとき、「私の知ってる文具店の中で、これをバラで置いていたのは、たった一軒。それどころか、セット売りさえ置いてないことがしばしば」と書きましたが、そのたった一軒がこのお店でした。
現在は、100円ショップのオレンジやセリアでバラのピグマックスツイン(赤・青・黒・白)を扱っていますが、当時は本当に見当たらなく、それだけでも、ご店主が思い入れを持って商品を選んでいることがうかがえたのです。
新商品の開拓にも熱心だし、実際に使ってみての説明には説得力がありました。
このブログで、昨年、文具店のステーショナリー タニィについてずっと取り上げてきたのですが、たぶんそれはこのときの経験、「文具が大好きで思い入れのあるご店主」「深い商品知識と説明」「お客の立場に立った親身な対応」を再び感じることができたからだと思います。
それは、文具店に限らず、消費者である私がお店に求める理想の姿なのだと思います。
その理想を満たす、文具の好きな、身近な文具店がまた一つ姿を消してしまいました。
残念でなりません。
ふらりと立ち寄った私に良くしてくださった温かいお店のことを私は忘れることはないでしょう。
御無沙汰してしまったために、1年も気がつかなくて本当に申し訳ありませんでした。
その文具店は、沼津市の いなば文具店 といいます。
※閉店のことは、「沼津タウン みんなの声」の投稿で知りました。
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